【イナイレ】シッカーラプンツェル【不動明王】

◇ラプンツェルの謝罪 ページ37

「不動！」

「あー？ようやく来たのかよ」



するとベンチでみんなの様子を見ていたフドウはくるりと振り返り、途端に眉を顰めて私達を見遣る。

こっちに歩み寄りながら「遅せぇよ」とか「着替えてねーし」とかﾌﾞﾂﾌﾞﾂ文句を言い続け
ようやく私達の元に辿り着いてもそれは止まらなかった。



「ったく、メシ食うのにどんだけ時間掛けてんだよ。ペナルティ付けるからな」

「仕方ないだろう？Aを放っては置けなかったんだ」

「ンな事言える立場かよ……俺はお前らに協力してやってるんだからな？」

「っ…」

「……わかってる」



フドウに睨みつけられ、ゲンダは顔を伏せると苦虫を噛み潰したような顔をしてそう呟き、サクマも拳を握り締めて険しい顔をした。


私のせいで2人とも怒られてる……

私が泣いちゃって、優しい2人が私に付き合ってくれたから……私を宥めてくれたから。


私の傍にいてくれたから、そのせいで……


ペナルティって、多分罰みたいな事…だよね？

よくわからないけれど…私のせいで2人が罰を受けるんだとしたら、謝らなくちゃ。


謝って、そのペナルティってやつを無くしてあげなきゃ。

最悪、私が代わりに………



「ご、ごめんなさい……私が、その…泣いちゃったから……2人が遅れたのは、私のせいで……その……だからっ……！」

「………」



私は胸に手を当ててフドウに謝った。

フドウはじっと私を見下ろし、私はその視線に耐えかねて目を伏せる。


だがふと、フドウは息を吐いて眉を顰めると
困ったように頭を掻きながら、口を開いた。



「……ああ、もうわーったよ。頼むから此処で泣くんじゃねーよ」

「…！」

「ペナルティも無しにしてやる。
…でも、今回だけだからな」

「ほ…ホント？」



怒られるんじゃないかと思ったけれど、意外にもフドウは許してくれた。

しかも、ペナルティも無しだって！


私は反射的に顔を上げて思わず笑顔を浮かべると
フドウは「いいか？今回だけだぞ？」と念を押すように言われてしまう。

でもいいの、2人が罰を受けないで済むのなら。
次からは気を付ければいいもんね。


2人の方を見遣ると、サクマは微笑みを浮かべて
ゲンダは私の頭を撫でてくれた。

まだ慣れない人の体温は、やっぱりあったかくて安心した。

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