【イナイレ】シッカーラプンツェル【不動明王】

◇ラプンツェルの弁解 ページ32

暫く走っていると、さっきの男の人が言っていたらしき奥の部屋の扉に辿り着いた。

軽く駆ける程度に走って来たけれど
途中で走っても発作を起こさないのが嬉しくて、何処まで速く走れるか気になって。

わざわざさっきいた地点まで戻って、本気で走って来ちゃった。


おかげで肩で息をするぐらいには息切れしてしまったけれど、初めて本気で走ったからなんだか凄く気持ち良かった。


本気で走ったらこんなに苦しくて、こんなに気持ちいいんだ……いいなぁ、いいなぁ。普通の人いいなぁ。

まぁ、私もこのエイリア石があれば、その普通の人みたいに過ごせるみたいだけど。



「…！黒井…！」

「うわぁっ！？」



走った後の余韻に浸かりながらも、私は目の前の扉に向き直る。

手を伸ばして、扉を開けようとしたその時。
私が扉に触れる事なく扉が開かれ、向こうからフドウが出て来た。
その時の彼も私と同じような服を着ていた。
下はズボンだったけれど。


彼も驚いた顔をして一瞬私を見てから、途端に眉を顰めて「何してたんだ？」とちょっと怒っているような口調で言われてしまう。


うわぁ……もしかして、着替えなんかしないでさっさと来た方が良かったのかな…？



「ご、ごめんなさい…！起きたらこの服が置いてあってね、私こういう服着るの初めてだったから、着替えるのに手間取って……それで……」

「あー、いや……お前が遅刻した理由はよく考えなくても予想ついてたわ」



とりあえず遅れちゃった事を謝ってから弁解したけれど、フドウは私の言葉を遮って後ろを睨みつけた。

部屋の中にはどうやら人がいるみたい……
よく耳を澄ませたら何人かﾋｿﾋｿ声が聞こえた。
多分睨んだのはその部屋の中にいる誰かかな。



「…ｯﾁ、まぁいい。それより、よくこの部屋が集合場所だってわかったな」

「それは…その、さっき怖い人に教えてもらって…」

「怖い人だァ？」

「そう、すっごく怖い人！サングラス掛けてて、ヘビみたいな顔で、背が高くて！

私、あのまま食べられちゃうんじゃないかって思ったの……だって背が高くて、ヘビみたいな顔してて、サングラス掛けてて…」

「…ッハハハハ！！」



フドウに聞かれたから、私はその怖さを知ってもらおうと、私なりに体で表現しながら答えた。

でもそうしたらフドウ、話の途中で笑い出しちゃって。
びっくりして思わず肩を窄めると、フドウは壁に凭れながら続けた。



「お前があったソイツは�狒躾祗瓮汽泙澄�

◇ラプンツェルと部屋の中→←◇ラプンツェルの遭遇

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す