◇ラプンツェルの危機 ページ12
息が、詰まる。
どうしてこの人はこうも私に意地悪な事をして来るのだろうか。
遠ざかった吸引薬。
私の命を繋げるお薬。
私はその人を睨みつけるけれど
その人はただただ楽しそうに笑うだけだ。
「その様子じゃお前、コレが無きゃ嘸かし辛いだろうなぁ?」
そう笑いながらプラプラと私の目の前で左右に振る。
私は上手く呼吸が出来ない中、薬を奪おうとするけれど
スッと手を引いて薬を遠ざけ、私の苦しむ姿を見てまたニヤニヤと笑う。
この人っ……何を考えているのっ…?!
私を……殺す気っ……!?
「返、してっ……!そ、れが……無いと…わ、た……しっ……!」
「どうしようっかなぁ…?」
命の危機を感じた私は息がまともに出来ない中、必死に声を絞り出して懇願する。
でもその人は弄ぶようにプラプラと薬を揺らしながらわざとらしく考えるような素振りを見せると
不意に持っていた吸引薬を後ろに投げてしまった。
薬は緩い弧を描きながら開いていた窓に吸い込まれるように落ちて行き、私は一瞬息をするのも忘れて目を見開いた。
うそっ……この人、私のお薬捨てた……!?
アレが無いと私、発作を止められないのに…!
唯一の手段なのにっ…!!
この人は本当に何をしに来たのっ…?!
何が目的で此処に…来て、そんな酷い事をするの……!?
「っ……ゲホッ、ゴホゴホッ!ゴホッゲホッ!」
「おーおー、大分苦しそうだなぁ?
辛いよなぁ、息が出来ないと」
お薬を窓から放り投げられた事でかなり動揺してしまった私の息は次第に荒くなり、咳のせいで呼吸がほとんどまともに出来なくなっていた。
遂には床に伏せ苦しむそんな私を、ただその男は楽しそうに見下ろしていた。
……ま、ずい……このままだとっ……私っ……
「おいおい、そんな顔で俺を見るなよ。
大丈夫だって、今楽にしてやるから」
意識が朦朧として、体に力が入らなくなっていく。
それでも私は最後の足掻きと彼を睨むと
その人はそう言いながら、ズボンのポケットから何かを取り出した。
ソレは紫色の石だった。
怪しく輝く、綺麗な石。
紐が通してあってアクセサリーとして身に付けられそうな。でもアクセサリーにしてはシンプル過ぎる気もする、そんな石。
彼はその紐を持っておもむろに私の頭の上に石を翳す。
「……?」
すると、どうだろうか。
あんなに苦しかった呼吸が、一瞬で楽になった。
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*IJu*(プロフ) - 桜吹雪さん» コメントありがとうございます〜!箱庭少女の方でもコメントありがとうです^^桜吹雪さんの好みに刺さったようで良かったです()ノロノロナメクジ更新なのでのんびり待っていてくれると嬉しいです…すみませんorz 桜吹雪さんこそ風邪など引かないように!更新頑張ります! (2019年10月30日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪(プロフ) - コメント失礼します。他作品でもコメントさせて頂いたものです。いやもう.....神様ですかっ!?()好みドンピシャです!毎朝、更新されてないかつい確認してしまいます(笑)最近は寒いので、お体に気を付けて頑張ってください!応援してます! (2019年10月29日 20時) (レス) id: 82aa4d9473 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます!一気読みする程夢中になって頂けて嬉しいです( ´ ▽ ` )影山怖いですもんね、注意してね……(他人事)これからも更新頑張ります〜! (2019年10月1日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - *IJu*さん» 作者様の文才や世界観に引き込まれ、つい一気読みしてしまいました!黒井ちゃん、影山には気をつけて……!!(オイ←)これからも頑張って下さい! (2019年9月27日 16時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 神田・スカーレットさん» コメントありがとうございます!真・帝国の不動くんは良いぞ……()オリオンの不動くんは真・帝国のようなトゲトゲイガイガが丸くなった感じですよね、それはそれは可愛いと思います( ˇωˇ )木の上で寝てた時笑いましたw (2019年9月17日 13時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
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