意地悪注意報【まふまふ】

注意報▼28 ページ28

「誰かに助けて欲しいって思ってるやろ？」





声色は対して怖くないのに
少し手首を抑えてくる力は痛い





誰か。



誰か来ないかな



坂田君を悪者にしたいわけじゃないけど

この状況どうにかならないかな







「誰に助けて欲しいん？？」




彼の優しい声が行動とは逆すぎて


どんな反応したらいいかわからない





だけど、私が今呼べる相手なんて1人しかいなくて



「…くん…」





「ん？」




「相川君…」





私が答えるとにっこりと微笑んだ彼がパッと手首から力を抜いて




「…そっかぁ…」



なんていいながら私の手首を撫でた



「ごめんな…痛い思いさせて」








優しい顔して
呟く彼の行動は

誰かが見れば
殴られて、謝られて、
結局好きって思ってしまう危ないカップルのようだ





「うらたさんのことは好きなん？」






彼はちょっと悲しそうな顔をする



なんでかわからないけども



「わ、わたしは…画面の向こうに映る"浦田君"が好きなんです」




「へぇ…うらたさんとは違うん？」




少し驚いた顔をするが私の話を聞いてくれた



「まあ…浦田さんは私の好きなキャラクターの声をやってくれている方ですからね」



「好きなんですけど…恋愛観かと言われるとわからないです」




私は浦田さんのことはあまり知らないのだ





よくよく考えれば、


画面の向こうの彼と付き合うことは
ほぼ0に近い。

別にだからと言って浦田君を推さないわけじゃない




だけど、その声優の浦田さんを恋愛相手として見てるかと言われてしまえば


わからないのだ。




「じゃあ、うらたさんのことはラブの好きじゃないね」




クスリと笑った坂田君





「じゃあまふくんはどうなの？」








*



「相川君…のこと…？」




「そうやで…助けて欲しい相手にするくらいやから…なんかそういう気持ちあるんやろ？」






坂田君の目を見てると、


口から嘘が出ない気がした

注意報▼29→←注意報▼27

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す