7 ページ10
納棺師との用事も終えた私は、そそくさと部屋に足を運んでいた。
今日は夜までゲームの予定は入っていない。
例の三人に見つかる前に、さっさと部屋に戻って詩でも作ろう。
そう考えていたのは束の間、唐突に何者かによって腕を引っ張られる。
予想外の出来事に対応しきれず、そのまま後ろへバランスを崩すと
恐らく引っ張った犯人であろう者に寄りかかる形となった。
『誰……』
「私」
顔をあげると、上から私の顔を満足そうに覗き込む写真家の表情が見えた。
最悪。即効見つかってしまったではないか。
「まぁまぁ、そんなに嫌そうな顔しなくてもいいじゃないか。もちろん歪んだ顔も素敵だけれど……」
『何の用です？』
口説き文句を遮り、必要な言葉だけを選び出す。
なんといっても、彼はあの三人の中で最も厄介な人物なのだ。
あぁ、と本題を思い出したような仕草をするジョゼフさんに、多少の胡散臭さを覚えながら返事を待つ。
「カメラの調子が悪いから、少し撮られてほしいんだよね」
『……景色でも撮られては？』
「ふふ、相変わらずつれないなぁ」
そりゃあそうでしょう。と、心の中で返す。
他人に興味のない私が好意を持たれたところで、面倒に思うことはわかりきっていることだ。
なのに彼らはいつもいつも、なぜ"私"に構うのだろうか。
「来てくれたら、お礼にクッキーを振る舞おうじゃないか」
何だって。それはずるい提案だ。
『大人は考えることが違いますね』
「君も可愛いところがあるからね」
その意見は腑に落ちないが。
何しろ彼のクッキーは格別に美味しい。大した用事もなく断る理由があろうか。
『クッキーのためですから』
念を押して返事をする。
嬉しそうに微笑んだ彼の横顔を見て悪い気がしなかったのは、きっとご褒美にクッキーが待っているからだ。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 379人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白夜(プロフ) - ぽぴらさん» ありがとうございます！！フレ申させてもらいました！白夜@陰キャ推って名前のやつです！弱いですがよろしくお願いします！ (2019年8月13日 2時) (
レス) id: 6250b56f0b (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - 白夜さん» 嬉しいご感想ありがとうございます！わあ、こんなやつでよけれぱぜひぜひ！笑 れあみぃでやっておりますので、検索してやってください〜 (2019年8月13日 0時) (レス) id: 3f5b5addce (このIDを非表示/違反報告)
白夜(プロフ) - コメント失礼します！楽しく読ませてもらっています、凄く面白いです！あの、もしよければなんですけど第五人格フレンドになりませんか？ (2019年8月12日 22時) (レス) id: 6250b56f0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
