第1話 ページ1
朝の日差しが眩しい。林の中から生徒達の声がわいわいと聞こえてくる。
ここ、ラティス王国の中の小さな農村コポル村、その中にある魔法学校では今正に進級試験が行われている最中である。
試験は実技テストでその内容はいたってシンプル。教師が魔法によって飛ばした空をあちこちに飛び周る鉄の玉を自分の持っている魔法を使って撃ち落とせという内容だ。
「13番、前へ!」
教師の指示により、一人の男子生徒が前に出る。彼は空飛ぶ鉄の玉を見つめ、狙い定めて両腕を伸ばす。呪文を叫んだ瞬間、緑の葉と共に小さな竜巻が玉を包み空飛ぶ鉄の玉は地面に落下した。
こうして一人一人使った魔法は違うが、魔法が玉に当たるたび、玉は次々に落下していった。
「27番、前へ!」
27番の焦げ茶色の髪色をしたひときわ背の低い少年が前へ出る。だが、この少年は【悪い意味で】普通ではなかった。
(よーし、今日こそはビシッと決めてやる!)
少年は試験に自信があったが、手には何故かボウガンが握られていた。
ボウガンの先端が空飛ぶ鉄の玉へと向けられる。少年が引き金を引く。本来なら炎の魔法石を付けた矢が玉へ向かって勢いよく発射され、玉が矢に当たって燃えた後に落下するはずだったのだが……。
「うわっ!?」
ボウガンは引き金を引いた瞬間、バンッ!と音を立て小さな爆発を起こし、少年は驚いてボウガンを地面に落とした。 少年は試験に失敗してしまった。
少年の名前は『ロット・カルディ』16歳。ボサボサの焦げ茶色の髪でひときわ背の低い少年だ。
少年は何故か『属性魔法』が使えない。原因は自分でも不明。とにかく幼い頃から他のクラスメイトが当たり前に使える属性魔法が何故か彼だけ使えなかった。だからこういう魔法が必要な実技試験の時などは魔法石を付けたボウガンを使用しているというわけである。
魔法石とは簡単に説明すると属性魔法の威力の劣化版のような石で色を塗ったガラスのようにきれいな色をしている。物に勢いよくぶつけることで数秒間だけ物を燃やしたり、物を凍らせたりできる不思議な石だが、不発などのハズレもある。
『属性魔法』とはこの国の住民なら誰でも使うことができる魔法のことで一人一人使える能力こそ異なるが炎を自在に操ったり、突風や小さな竜巻を発生させることができる魔法のことである。能力を高める事で先ほどの試験の様に鉄の玉を一定時間空に飛ばす事もできる。(風魔法)
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ぽんきち(プロフ) - 早速拝読させて頂きました。ちきぽんです。続きを楽しみにしています。 (2021年3月2日 7時) (レス) id: e85b2d6e03 (このIDを非表示/違反報告)
古谷千紗 - ※恐れ入りますが『千紗』という名前(ハンドルネーム)の作者さんが既に存在している為、その人の名誉と混乱などを避ける為にこの名前に変えさせてもらいます。予めご了承ください。「こたに ちさ 」と読みます。偽名です。 (2021年2月27日 19時) (レス) id: d2ebfde007 (このIDを非表示/違反報告)
千紗 - 読んで頂けたら嬉しいです。なお厳しめのアドバイスや評価もなるべく承りますが、悪口や荒らしとの区別は付けてください。 (2021年2月27日 11時) (レス) id: d2ebfde007 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:古谷千紗 | 作成日時:2021年2月23日 20時