【cs】百瀬旧制中学校卒業証書。

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【続き】


　『彼』はこの中学校の生徒だった。
　今年で卒業学年。卒業後は予科練を志望するか、それとも陸軍に徴兵されるのだろうか。ああでも下の弟達は自分が居なくなったら寂しがるだろうな。もう遅いが、父と同じ鉄道員を目指してみるのも悪くなかったかもしれないな。鉄道員の制服、格好良いもんなあ＿＿＿そんな事をぼんやり考えながら日々を送っていた、弟想いの至って普通の学生の一人だった。

　校舎に取り残され木材の下敷きになった下級生を、迫る火の手を気にかけながら引っ張り出して逃がした後に、『彼』自身が背後で崩れた木材の下敷きになるまでは。
　そのため普段は服の下に隠れて見えないが、上半身は目も当てられぬ程のひどい火傷を負っている。

　『彼』に関しては、学校に資料室等があるのなら当時の生徒記録や写真に似た姿が見られたり、○○期卒業生の集合写真で開いた場所にある丸枠に写っていたり(恐らく死亡者の部分は幾つか丸枠で補充されている)するかもしれない。
　名前は考えていないので自由に考えていただいて構いません。

　周りにいる子供達の出自経緯は前述した通り様々。
　中学の生徒であった者もいれば、火の手から逃れるため逃げ込んだが校舎の下敷きになった者、火傷や怪我を負い校庭に保護されるもまもなく蛆が湧いて死亡した者、学校の近くで火災に巻き込まれ死亡した者、等々。
　皆この世に未練を残し、成仏できずにこの地に囚われている。





【参考文献】

「空襲の犠牲者の霊」-Wikipedia
「真夜中の日本兵」-同上
「砲兵森の幽霊」

「火垂るの墓」-野坂昭如著
「はだしのゲン」-中沢啓治著
「3月10日東京大空襲 語られなかった33枚の真実」-TBS
「学び舎に散った子どもたち〜大分・保戸島空襲〜」
「東京大空襲」-Wikipedia
「焼夷弾の威力」-YouTube




【アカウント名】嵩画



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