【cs】百瀬旧制中学校卒業証書。

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【続き】


　私達から見て恐ろしい言動に走る事があっても、それは彼らに悪意があるわけではなくあくまでも好意からくる至って純粋なものである。しかしそれで巻き込まれた生者が困っている様子であれば、『彼』が間に割って入り無言で助け舟を出してくれるだろう。事が済めば、子供達を連れて慰霊碑の方に帰っていく。

　最年長で無口な様子の『彼』は子供達から「お兄ちゃん」「兄(あん)ちゃん」と呼ばれ親しまれており、また『彼』もこの数えきれぬ魂達の兄として、彼らを大切に思っている。そのため子供達が貶されるような事があれば、怪異らしく報復に出る事だろう。



　数年前、慰霊碑に落書きをした高校生1年生が翌日から空襲の悪夢に苛まれるようになり、それがあまりに鮮明すぎる故に徐々に夢と現実の境目を失い、日常生活において「空襲警報、呻き声、助けを呼ぶ声が永遠と聞こえる」と訴えた後精神を病み学校を退学したという噂が残っている。
　決して相手を殺さないのは、自身が戦争という理不尽な行為によって命を落としているからか。それとも相手を生殺しにするためか。

　他にも、子供達の遊びに付き合っている途中に異様に自身の四肢を斬り落としたくなる衝動に駆られたり、自分が誰であるのかを忘れかけるなど、様々な影響が出ている。
　生者に害が出そうになる案件の場合は基本的に『彼』が止めに行くのだが、『彼』とて万能ではない。間に合わぬ事もあるだろう。




【見た目】


　煤こけた昔の服装に身を包んだ、年齢も背丈も違う少年少女達。皆『彼』より歳下と思われる。時代が時代故に髪型は丸刈り、おかっぱ、三つ編みが多い。

　肌は青白く、または全身が焼け爛れていたり、眼玉が無く血涙を流していたり、片腕が無いまたはあらぬ方向を向いていたり、何かの拍子に突然首がずるりと落ちてしまったり、両足が無くふわふわ浮いていたりなど、何かしら怪我を負っていたり欠損箇所がある。
　皆その瞳に光を宿す事はなく、逆に吸い込まれてしまいそうな黒い深淵を湛えている。

　『彼』はところどころ血濡れた国民服の上衣を着、同じく規定の袴(ズボン)を履いている。袴の裾は焼け落ち、ほぼ半ズボンのような具合で傷だらけの青白い素足が見えている。身長は160cm前後。
　学生帽を目深く被っているが、一応本人は周囲を視認出来ているようだ。同じく瞳に深淵を湛えている。



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