ページ ページ11
備考：
ごく普通の一般家庭に生まれ、国立大学卒業後、一般幹部候補生試験を受け入隊。
自衛官を志望した理由は「災害派遣などで活躍している自衛官らを見て、自分も彼等と同じように人を救う、守る立場になりたいと思ったから」。
5年前、三佐の時にロボット導入計画で作られた試作ロボット、通称一号機との相性に適性が見受けられるとして選抜され、軍事ロボット開発研究に初のマッチング試験者として協力する事となった。
人工知能を搭載した一号機は、まさに「ロボット」であった。感情表現に乏しく無口で不器用な彼に、永見が積極的に話しかけ、知識を与え、苦楽を共にするうちに、彼の運動性能の最高出力記録もどんどん塗り替えられ、(彼が無口だからというのもあるにはあるが)言葉を交わさずとも通じ合えるような、互いに背中を預けられるような、ほんのりとした「絆」というものを意識出来るまでになっていった。そんな関係に、永見は何より居心地の良さを感じていた。
が、研究施設内にある回線のうちの幾つかがショートしたのを原因に、施設が全焼・崩落するという火災が発生。
中の研究員や自衛隊員らは全員退避したが、データチェック中でケーブルに接続・固定されたままの一号機は置き去りにされたままであり、居てもたってもいられなくなった永見は水を被ると燃え盛る施設に単騎で飛び込んだ。崩落する瓦礫や炎を避け、ようやく一号機を見つけた頃には、機体がケーブルの接続口辺りから熱に溶かされ始め、既に瓦礫によって左腕や脚を破壊され、惨々たる状態であった。
一号機、一号機、大丈夫か、と半ば叫ぶようにして駆け寄った永見に対し、彼はかっと目を模した部分を開き、「早く戻れ！」と稲妻のような怒声で一喝した。永見は初めて彼の大声を聞いた。初めて彼が怒るところを見た。初めて「心」がぶつかった瞬間であった。
永見が予期せぬ応えに思わず動きを止め、狼狽ていると、一号機は底から唸り上げるような声を響かせながら残った右腕を持ち上げて永見を掴み、崩落してぽっかり外が見えている穴に向かって力任せに彼を投げ付けた。
何もかもが予想外で、突然で、何故今自分は大気圏に突入した隕石のように空を切っているのか、考える余裕すら無かった。ふと我に帰った時には既に訓練場の地面にダイブする寸前で、咄嗟に五点着地の体勢を取ろうとするも地に体を強く打ちつけ、気を失った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
