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7. 少年と猫 ページ7

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ニャア…ゴロゴロ


道場の近所を歩いていると ふと猫の鳴き声が耳に入る。

無類の猫好きである私の耳は
そのかすかで甘美な音を聞き逃さなかった。

音を頼りに路地へと入っていく。

するとそこにいたのは
一匹の茶色い縞模様の猫。

そしてその猫と似た髪色の少年。
黒い隊服に身を包んでいる。例によって腰には刀。


「あ…」


猫と戯れていたその彼がこちらへ視線を投げる。

緋色の瞳。端正な顔立ちだ。
歳は20歳を見たないくらいだろうか。


「真選組、の人ですね」

「何でィ。見ての通り今は大事な仕事中でさァ
 用があんならその辺にいる土方コノヤローにしてくだせぇ」

「猫と戯れるのが大事な仕事ですか」

「なんか文句でも?」


つかつかと少年の方へ歩み寄る。
じぃっと、わずかに彼の警戒心が高まるのを感じた。


「いいね。私も混ぜて」


しゃがみこんで猫を見詰める。
逃げの体制をとろうとする猫に、そっと手を差し出すと
クンクンと匂いを嗅ぎにきた。

人慣れしているんだろうか。すりっと頬を私の指にすりつけてきた猫。
私の事を脅威ではないと判断したらしい。


「サド丸が懐くなんて珍しい」

「サド丸?あなたの猫なの?」

「ちょっと前にここで鳴いてるの見つけたんでィ。あれから変に懐かれちまったんで
たまに様子みにきてる」


なにその羨ましい限りのシチュエーション。

サド丸が目を細めておとなしく私に撫でられているのを見て
彼も少し警戒心を解いたようだ。

可愛いなこの子たち。


「土方コノヤロー?なら、そこの道場にいたよ」

「知ってまさァ。途中まで一緒だったんだ」

「…一緒にいなくていいの?」

「ニコチン臭いからやだ」

「そっか」


さっきと違って、穏やかな空気が流れる。

武装警察、真選組。

そんなおどろおどろしい肩書きを掲げているとは思えないほどに
目の前の彼の返答が普通の男の子で、少し頬がゆるんでしまった。

確かに土方コノヤローが吸っていたであろうタバコは
少し匂いが独特だ。


「私、A。今日から一文無しなの」

「そういうのって普通もっと当り障りないやつ添えるんじゃないの
…冲田でさァ。沖田総悟。」

「冲田くんね。おぼえた」




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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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みけ(プロフ) - 笛さん» 毎度ありがとうございます^^ 沖田くんメインで書いてるので、銀さんには少々我慢して頂いてますw (2021年2月19日 21時) (レス) id: 85e7eab2a4 (このIDを非表示/違反報告)
- 今回の更新最高です!!!銀さんがかわいそうな気がするけどwwww (2021年2月19日 20時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» ありがとうございますっ!お待たせしております。ただいま予定が立て込んでますゆえ、もう少々お待ちください…! (2021年2月10日 18時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
- 毎日寝る前に更新チェックしてます!!!! (2021年2月10日 1時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» コメントありがとうございます!わたしの文章でそう感じていただけることが幸の極みでございます…!精進いたします! (2021年2月7日 20時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人魚ちゃん | 作成日時:2019年2月14日 4時

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