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32. 恋心 ページ32

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髪が乾いてきた。

こうやって
誰かに乾かして貰うのは、いつ以来だろう。


沖田くん、手先器用だなぁ。

ドSのくせに
壊れ物を扱うかのように触れて、
そっと私の髪に指を通していく。

そのくすぐったい感覚が
ほわほわと胸の中に乳白色のベールを降ろしてくる。


「乾かすの疲れない?」

「俺を誰だと思ってんですかィ
これごときで疲れてたら世話ありやせん」

「そっか、確かにね」


ドライヤーの音が止み、
今度は風で乱れた髪を梳かしてくれる沖田くん。

さらり、さらり

微かな音が部屋の中に響く。

さらり、
さらり。

さらり、さらり。


私は気持ちいいけど、
なんだか妙に長いような。


「沖田くん
もういい、よ…」


振り返ると沖田くんは、
掬った私の髪を
目を閉じた自分の口元に触れせていた。

それはまるで、髪にキスをされているようで…

驚いた拍子にするりと
彼の手から私の髪が滑り落ちる。


「あ、みられちゃいやした」

彼は慌てる様子もなく
仄かに高揚した頬で、視線を畳に落とした。


「我慢、できなくて」


自嘲気味の笑顔を浮かべながらそう言う彼に
胸がぎゅっと締め付けられる。

曖昧な関係を続けていた罪悪感が、
沖田くんへ溢れる気持ちを一層強くした。


「私…沖田くんに、
そんな顔させてたのね」

「…Aさん?」



彼へ向き直って、
ふっと小さく息を整える。

沖田くんの方へ、
膝を使ってする、すると身体を寄せて
彼の肩へ手を置いた。

そっと伺うように見つめる瞳を見つめ返して


「…降参だよ」


私は
沖田くんの唇へ
自分の唇を重ねた。





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.

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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みけ(プロフ) - 笛さん» 毎度ありがとうございます^^ 沖田くんメインで書いてるので、銀さんには少々我慢して頂いてますw (2021年2月19日 21時) (レス) id: 85e7eab2a4 (このIDを非表示/違反報告)
- 今回の更新最高です!!!銀さんがかわいそうな気がするけどwwww (2021年2月19日 20時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» ありがとうございますっ!お待たせしております。ただいま予定が立て込んでますゆえ、もう少々お待ちください…! (2021年2月10日 18時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
- 毎日寝る前に更新チェックしてます!!!! (2021年2月10日 1時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» コメントありがとうございます!わたしの文章でそう感じていただけることが幸の極みでございます…!精進いたします! (2021年2月7日 20時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人魚ちゃん | 作成日時:2019年2月14日 4時

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