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31. 纏う色は深く ページ31

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「ずっと突っ立ってどうしたんですかィ?戻りやすよ」


先ほど自分がしでかした大失言など全く気にしていない様子で
背を向けた沖田くんが涼しい顔でこちらを振り返る。

っく…!もしかしてこれもわざと?
ずっとしてやられてるせいで
もう彼の一挙手一投足が私を揶揄う策略なのではないかと思えてしまう。

こっちは風呂場で一念発起してやっと出てきたっていうのに。

パタパタと沖田くんに追い付いて隣を歩く。

すると、まだしっとり濡れる私の髪を
彼の手が掬った。

驚いて沖田くんを見やると
"今度は俺が乾かしてやりまさァ"と
へらっと笑いかけてきた。


「…お、お願いしよっかなじゃあ」


廊下が暗くてよかった。

湯冷めるどころか頬は熱くなるばかりだ。





/





ちょこんと畳に正座するAさんの背後に腰を下ろす。

ああ…この体制なら
すぐにでも彼女を抱きすくめられるのに。

やや強張ったAさんの背中を見つめながら芽生えた下心と静かに葛藤する。

…いや、今までも何かと口実を見つけて触れてきた中に
下心がない訳ねェんだが。


でも、この衝動は一歩間違えればAさんを傷つけてしまう。
一時の欲望に任せた末に彼女が遠くに行ってしまうくらいならと
コントロールするのに必死だったのだ。


それに、そうやって俺が触れる時は
“可愛い弟分”としてではなく“一人の男”として
Aさんが受け入れてくれなければ意味がない。


調教?そんな話はそれからだ。


…なのにこの人ときたら

俺の苦労も知らないで
滲み出た下心が期待した以上のもの見せつけてきやがる。


水分を吸い取ったシャツが透かす
かすかな背中の肌色も。

髪の隙間から覗く白く細いうなじも。

濡れた髪と少し大きいシャツは
彼女の持てうるすべての部位を艶めかしく演出させるには十分すぎた。



ドライヤーを当てれば、
Aさんの、水を孕んでその色を濃くした髪が風に合わせて俺の指に纏わりつく


香ってくる石鹸の匂い。
俺と同じ匂い。

危うげに彼女の身体を隠すシャツも俺のもの。



嗚呼…
この感覚、たまんねェな。



今夜一晩。

Aさんは
俺だけが知り、俺だけが触れられる女。

勿論今夜だけで満足する気はないが。




Aさん


俺の部屋で

俺に包まれて

俺だけを見て


俺だけで、
もっと心を乱して。





/



ぶおぉおっ

「…」

「アツッ、ちょ沖田くん私の髪でサイヤ人しないで
普通に熱風…!いや熱ッ」


.

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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みけ(プロフ) - 笛さん» 毎度ありがとうございます^^ 沖田くんメインで書いてるので、銀さんには少々我慢して頂いてますw (2021年2月19日 21時) (レス) id: 85e7eab2a4 (このIDを非表示/違反報告)
- 今回の更新最高です!!!銀さんがかわいそうな気がするけどwwww (2021年2月19日 20時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» ありがとうございますっ!お待たせしております。ただいま予定が立て込んでますゆえ、もう少々お待ちください…! (2021年2月10日 18時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
- 毎日寝る前に更新チェックしてます!!!! (2021年2月10日 1時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» コメントありがとうございます!わたしの文章でそう感じていただけることが幸の極みでございます…!精進いたします! (2021年2月7日 20時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人魚ちゃん | 作成日時:2019年2月14日 4時

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