検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:48,644 hit

28. ほわん ページ28

.


タン、と襖が閉まる。

暗い部屋に目がなれない。

襖から漏れる外の光で沖田くんの影はわかるのに、
距離感覚がつかめない。


「夜中に独りで帰らせたところで、
いくら俺がドSでも面白くないじゃないですかィ
電気電気…」

「言わんとすることはわかるけどちょっと違くない?
あっちょ、いやそれ以上こっち来るとぶつk…ぐむ」

「ありこんなとこいたんで?」


どうやらそれは沖田くんも同じようだ。引っ張ってきといてこの子。

見事に私たちは衝突し、
弾みでのけぞった私を沖田くんの逞しい腕が支えた。

同時に電気がつく。

人工的な灯りが部屋中を照らし、
反射的に目をギュッと閉じたのを恐る恐る開くと
すぐ目の前には沖田くんの顔があった。


「…意外と近かったですねィ」


そんなことわかりきったような笑みを浮かべて沖田くんが私を見下ろす。
髪からぽたりと水滴が滴って、私の頬へ落ちた。

ふわっとお風呂上りのシャンプーの香りが鼻をくすぐる。


「髪乾かさないと、また風邪ひくよ」

「ひいたらまたAさんに看病してもらいやす」


なんだか完全にしてやられていることがとても悔しかったので
沖田くんの髪をぐしゃぐしゃっとしてやったが
あまり効果はないようだ。

…くそ、顔整ってんな。


「どうせ今日は帰れないんだし
せっかくならAさんに乾かしてもらおっかなァ」

「…私帰るけど?」

「もう夜更けですぜ?
どうせ明日も来るんだから、ちょうどいいじゃないですかィ」


ぐうの音も出ない。普通に考えてここに泊まるのが一番効率がいい。
でも何か反抗したかった。

…まったく、子供なのはどっちだろう。


「大人しく厄介になっときなせェよ」

「…わかったよ。だからそろそろ立たせて
腰が痛くなっちゃう」

「おっとそれはいけねぇ、明日にはもっとウ゛ッ」


最低なジョークを言いかける沖田くんに
べちんと一発お見舞いして座らせると
私は後ろに膝立ちになって手際よくドライヤーの電源を入れた。


ブォオオオ...


男の子の髪の毛は短い。
少し温風をあてているだけで、もう髪の全体が乾き始めていた。

サラサラと栗色の髪の毛が手に絡む。

なにこれ、私の髪よりサラサラなんでは?


「Aさんの手、気持ちいい」

「誰かに乾かしてもらうと自分でやるよりなんか気持ちいいでしょ」

「毎日やってほしいでさァ」

「甘えた言わないの。今日だけね」


でもなんだかちょっとだけ、おんなじ気持ち。



/

29. 確信犯?→←27. 真夜中の戦争


ラッキーアイテム


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (94 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
219人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みけ(プロフ) - 笛さん» 毎度ありがとうございます^^ 沖田くんメインで書いてるので、銀さんには少々我慢して頂いてますw (2021年2月19日 21時) (レス) id: 85e7eab2a4 (このIDを非表示/違反報告)
- 今回の更新最高です!!!銀さんがかわいそうな気がするけどwwww (2021年2月19日 20時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» ありがとうございますっ!お待たせしております。ただいま予定が立て込んでますゆえ、もう少々お待ちください…! (2021年2月10日 18時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
- 毎日寝る前に更新チェックしてます!!!! (2021年2月10日 1時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» コメントありがとうございます!わたしの文章でそう感じていただけることが幸の極みでございます…!精進いたします! (2021年2月7日 20時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:人魚ちゃん | 作成日時:2019年2月14日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。