運命の人2 ページ13
ジェードは慣れた手つきでカードをテーブルに並べていく。一つ一つ、音もなく。まるでマジシャンのようだと私は感じた。私が指さしたカードをジェードが取ると、その結果を見て、何故か彼は眉間にシワを寄せる。
「……意味わからないんだけど、これ」
「で、何が出たの?」
ジェードは小首を傾げ、子猫のように目を細め笑みを浮かべる。そういう時はだいたい私に幸運、という兆しが出た時だ。
つまり、私に運命の人が……!
「んー……秘密?」
「う、占った意味ないじゃん、ヒントだけでも教えなよ」
「えー……姉ちゃん、なんか必死だね」
「そ、それは……」
ジェードに聞かれて、自分が変に熱心なことに恥ずかしさを覚える。でも、仕方の無いことだ。私はずっと好きな人や彼氏といった恋愛系の類いに恵まれていないのだ。
や、やっぱり自分のメモばっかりしているところとか、許可はもらってるけど記事にしたりとかするからかな……。
父が見繕ってくれたお見合いも、いい所までいくのにジェードが破談に持っていくし。初恋だって、ジェードに邪魔された記憶しかない。
「なに?姉ちゃんそんな恨む様な目で見て」
「な、なんでもないよ……」
私も小説みたいに素敵な王子様が迎えに来てくれたら……なんてね。そんな妄想をするのも卒業しなきゃいけないのにな。
「仕方ないな〜、じゃあ、ヒントね?3年生だよ」
「3年生か……」
気になる人達が多いクラスだな……。どのクラスも多いんだけれど。そこに、運命の人がいるんだろうか……。私は並べられた他のカードに目をうつしながらそんな事を考える。
「思ったより食いつき悪いね。放課後にでも捜してみるといいんじゃない?」
「……やっぱりやめておくよ」
私は口角を上げる。ジェードは驚いて、不思議そうにして、また、残念そうに口を尖らせた。
「えー?なんでさ、姉ちゃん凄い乗り気だったじゃん」
「なんでもだよ」
先輩は素敵な人が多すぎる。そんな3年生の中に1人で入る自信なんてない。私にはちょっと場違いだ。
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作者名:MIO | 作成日時:2020年1月7日 19時