【鬼滅の刃】日溜まりは堕ちた【男主】 (ページ43)

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４３話ページ43

奈落山に到着すると、目の前に光景に俺はあ然とする。

山の周りは背の高い木材で囲まれていて、そこには大きな扉が設けられている。

関所よりももっとずいぶんと大きい。

多分この扉から罪人を中に入れるのだろう。

けれどそれ以上に驚いたのはそこに人が立っているという事だ。

鬼殺隊の制服も着ていないその人は、険しい顔をしながら槍を地面に着き立っている。

「鬼が居るので危険です、離れてください」

俺は顔を険しくさせて言う。

「む、鬼殺隊の方ですね、お待ちしておりました、あなたで五人目です」

鬼が居ると言うのに男性は落ち着いていた。

「ここから離れてください、ここには鬼が居ます、鬼は人の血肉を喰らいます」

「知っています。だとしても私はここから離れるわけにはいかない。罪人をここから出さない事が私に与えられた役目ですから」

ギィという音を鳴らし、扉に一人が通れるほどの隙間を開ける。

「お気をつけて」

開けられた道に俺は足を踏み入れる。

扉は大きな音を立てて閉められた。

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山を登る。

狭霧山とは違い、それほど急ではない坂道を滞りなく進む。

ガサリと草木が揺れた。

足を止め、呼吸を整えながら刀に手をかける。

耳の奥がキンとなるほどその場が静まり帰り、左右上下に目だけを動かす。

木々が揺れる。

右側から影が飛び出してきて、俺は刀を振り抜く

「待ってくれ！」

声に、体の動きを止める。

「助けてくれ、皆死んじまう！！」

そう言いながら俺に縋り付いてくるのは、髭を伸ばしっぱなしにした白髪交じりの男だった。

体中泥だらけで、着物もかなり傷んでいる。

きっとここに収容された罪人だろう。

「あっちだ！あんたに似た見た目の奴らが何人か来て戦ってる！！」

指さす方に視線を向ける。

「わかりました、このまま下山してください、外には出してもらえないと思いますが扉のあたりは何も居なかった」

言いながら俺は男を引きはがして走り出す。

指さす方に無心で走っているとキンッと鋼がぶつかるような音が聞こえた。

木の陰に隠れて様子を伺うと、隊服を着た男が刀を振り下ろしている姿が映る。

「うあぁ――――ッ！！」

喉が枯れそうなほどの叫び声を上げ、刀を振り下ろす。

「早くくたばれ！！」

俺はその光景に目を丸くした。

隊員の前に居るのは、一人の少女だったのだ。