4話 ページ4
「それで、おめおめ戻ってきたっていうのか?」
俺は今、自分の家にいた。
あの後、炭治郎は禰豆子を軒先に座らせて自分は家族を部屋に寝かせ始めた。俺は斧から手を離し、炭治郎を手伝うために家に上がった。彼女らを寝かせている間俺たちは一言もしゃべらず、寝かせ終えると庭に出て穴を掘る。
そこに丁寧にみんなを寝かせ、優しく土をかける。
普段冥土なんてものは信じていなかった。けど、今は冥土が温かくておいしいものもいっぱいあって花も咲いていることを願わずにはいられない。
「これから……どうするんだ?」
彼らを埋葬し終わると同じくらいに禰豆子が目を覚ました。炭治郎は血の付いた着物を着替えるために家の中に二人で入っていく。
彼が禰豆子の着物に手をかけたのを見て俺は背を向けた
「行くところがあるんだ」
「行くところ?」
「うん、そこに行かないといけないんだ」
そこってどこだ?そう聞いたが、彼は返事を返さなかった。まさか「家族の所」だなんて言わないよな…。
「狭霧山に行くんだ」
彼はそこには鱗滝さんという人がいて、その人に会いに行くのだと言っていた。狭霧山はこの山からは一日かけてもたどり着けないところなのに、一体その人が彼に何をしてくれるというんだ?親戚か何かだろうか。
そんな遠くに行く必要はない、うちに来て一緒に暮らそうと提案したが彼は首を縦に振らず、着替え終わり、部屋のいたるところから何かをかき集め風呂敷に詰めるとそれを背負った。
「お婆さんやお爺さんによろしく伝えてほしい」
お墓の前で手を合わせた彼は禰豆子の手を引いていく。
本当に行ってしまうんだ。遠くに行ってしまうんだ。
二人が走り出し、小さくなっていくのを「さようなら」も言えずただずっと見えなくなるまで眺めるしかなかった。
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「あんたがそんな愚図だとは思わなかったねえ」
そして俺は今、玄関でばあちゃんにそれらを説明し、ひどい目つきで睨まれて居た。
「本当の友達ならお前が力になってやんなきゃ、そんなことも分かんないのかい」
「わかってる、でも炭治郎は俺に弱音一つはいてくれないんだ…」
「炭治郎のせいにすんじゃないよ!!」
あまりにも大きな声で怒鳴られ体が飛び跳ねた。そして脇差や何やらを風呂敷に詰め込まれそれと一緒に家を追い出されたのだった。
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作者名:矢月 | 作成日時:2020年2月15日 13時