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12話 ページ12

右胸に痛みを覚えながら、肩を借り、来た道を戻ると目の端に黒いものがちらついた。

目を細めそれを見ると、先ほど炭治郎に襲い掛かっていた鬼の頭部が、
斧によって木にはりつけにされているようだった。

炭治郎が倒したのか…?

そう思っていると、彼に連れられてその木の前で立ち止まる。

俺を少し離れた場所に座らせると、彼は懐から短刀を取り出しそれを逆手に持つと、
鬼の場所にまで歩いていく。

俺からは彼の背中しか見えないが、彼は一向に動こうとせず、それどころか肩が激しく上下している。

鬼の頭はぐったりとしているようだが、死んでいるのか、ただ気絶しているのかわからない。

その動向をじっと見つめていると、ドンと体に何かがぶつかってくる。

「むー!」

それは禰豆子だった。座り込んでいる俺に抱き着いて来て甘えるように頬ずりし始める。

俺の事を炭治郎と間違えているんだろうか。

よしよしと頭を撫でると満足そうに彼女は笑みを浮かべる。

ひとしきりその笑顔を眺め、顔を上げると、俺は驚きのあまり心臓が激しく動悸した。

今まで3人しかいなかったのに、そこに誰か知らない人物が突然現れ、炭治郎の背後に立っていて。

「そんなものでは止めを刺せん」

俺は突然の事で二人を交互に見る。

「ど、どうしたら止めを刺せますか?」という炭治郎に、
男は「人に聞くな、自分の頭で考えれないのか」と冷たく言い放つ。

汗を流している炭治郎が、大きな石を拾い、鬼の前に再度立つが
それでも尚その石で何かをするわけでもなく、立ち尽くしている彼を見て

「知ってるなら教えてくれよ!」

そう言うと男が振り返る。俺はその顔を見てぎょっとした。
男の顔は真っ赤な天狗の面をつけていたのだ。

言葉を失っていると、男は俺の前にしゃがみ込み、肩をポンと叩く。

「始末はあの少年に任せて、お前はこっちを手伝え」

そういうと、音もなく立ち上がりさっそうとお堂の方へと向かったのだった。








「墓が3つ必要だな…」

彼の後をついていくと、お堂の前で立ち止まり、ぼそりと呟いた。

「土を掘る、こっちだ」

彼がその場から退くと、そこには壁までも血に染まった部屋があった。
炭治郎達の家と同じだ。こんな風に血でいっぱいになっていて、そこでは誰かが死んでいて。

「何をぼさっとしている、一刻も早く寝かせてやらねば…今日は特に冷える」

俺はお堂に手を合わせて、男の元へと急いだのだった。

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作者名:矢月 | 作成日時:2020年2月15日 13時

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