気づいちゃった ページ2
私はアイドルの羽田A。
そこそこ売れていて、SNSのフォロワー数はもうすぐ100万になる。
そんな私でもエゴサーチはよくする。
今のところ炎上はなく、袋叩きに遭うようなことはまだない。
今日も自分の名前を検索する。
「つぶやいたー」というSNSで、自分の名前をサーチしてみた。
新着順に私に関するつぶやきが出てくる。
そんな中、あるつぶやきが目立った。
羽田A落ちの小説書きました。
是非読んでください。
気に入ったら拡散お願いします。
#羽田A #夢小説 #妄想小説
http//xxx..x.jp
私の小説なんてあったんだ。
何の気なしにリンクを開いてみた。
そこにあったのは、主人公である読者と自分の恋愛小説。
私が主人公を好きになって、色んな障害を乗り越えつつも結ばれる。
ありがちな恋愛ストーリー。
自分で名前を決められる主人公、つまり夢主という存在との恋愛。
そこに私の好みや意思はどこにもない。
読み進めるごとに違和感が募っていくし、お色気シーンは恐怖すら感じた。
夢主とイチャイチャする私。
夢主とキスをする私。
夢主と一夜を明かす私。
勝手にそんなことが書かれていて、なんか怖い。
これを読んで知らない男性が喜んでると思うと……。
書き手には申し訳ないけど感想は……正直気持ち悪かった。
誰かに愚痴りたくなって、隣の部屋の兄に話しかけた。
兄は私と同じメリプロに所属していて、
「お兄ちゃん、聞いてよ!」
「うわっ、急にどうした」
いつも愚痴るときと同じ調子で夢小説のことを話した。
「なるほど、夢小説ねぇ」
「お兄ちゃんのもあるんじゃない? 私が検索してあげる」
「いやいや、そんな検索してすぐヒットするもんじゃ……」
「あったよ」
「早っ!」
私は兄にスマホを向けた。
受け取った兄は小説サイトをスクロールしていく。
「俺と、知らない女の子の恋愛小説かぁ……」
「どう?」
兄は溜息をついた。
「あんまりいい気分じゃないな」
ちなみに小説の説明欄にはピンク展開あるかも?と書かれている。うん。
さっき私が感じた気持ち悪さと同じものを感じているのだろう。
「ねぇまって、関連小説にお兄ちゃんのB L小説あるよ」
「ええ……」
私も兄もLGBTに対して偏見はない。
でも、恋愛対象は異性だ。
勝手に捻じ曲げられると違和感がある。
10人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アスピリン | 作者ホームページ:
作成日時:2023年7月1日 22時