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「これは最大級の賛辞だよ、突っぱねていても意味なんてない。成長するためには反抗期も必要だけど、いつまでも逆らってばかりではいられない。いつか体制に、社会の仕組みに、『おおきなもの』に取りこまれる。いつまでも子供ではいられない、大人になるべきだの。そしてそれは、今しかないんだ。このチャンスを、むざむざ無駄にしないでほしい。ここが引き際だよ、妥協点だ。これからもアイドルとしてやっていきたいなら、君たちも大人の判断をすべきだよ。僕はずっと、君たちのような才能を待っていた。この巡りあわせを、不幸な結果で終わらせないでほしい。心からね、お願いするよ。僕に、せっかく咲いた美しい花を、踏みつぶさせないでほしい」
これは本心なんだろうな……踏みつぶしたくない
なら、なんでそんな道しか選べないの？
「この『お願い』を聞いてくれないなら、哀しいけど戦争するしかないね？ふふ、みんな固まってしまったね。突然すぎて驚いちゃったかな、でも返事は待たないよ。君たちは、たった二週間の特訓で『紅月』をくだすほどの推進力を、武器を得た。放っておくと危険だからね、この場ですぐ返答をしてほしい」
「夢ノ咲学院のトップアイドルにそこまで警戒してもらえるとは、光栄だな。だが、俺たちの答えは決まっている。そうだろう、みんな？」
「……すこし考えさせてくれ、ってのは返答にならないのか？」
「衣更？」
『真緒君……？』
「北斗。おまえらしくないぞ、情熱が空回りしてる。どうも感じてる以上にやばい状況だぞ、これは。まぁ上から目線で一方的に命令されて〜みたいな感じでさ、気分はよくないけど。この現実が将棋盤なら、俺たちはすでに丸裸だ。迂闊に動くと、詰むぞ」
「ふふ。若いっていいね、何でもできるような全能感があるんだろうね。でも、いったん『そういうの』は忘れて、冷静に考慮してくれると嬉しいな。衣更くん。賢い君なら、ちゃんと利害を天秤にかけることができるよね？」
「…………」
『え、』
まって、本当に解散しちゃうの？英智先輩の言ってることも一理ある
でも、これはあまりにも……こんなの
私ならもっと……もっと、ちゃんとみんなが幸せになれる道を……
『っ……』
「Aちゃん？」
あんず先輩が心配して声掛けてくれてるけど今は返事を返す余裕すらない
「返答を急かすのにも、理由がある。近日中に、あるイベントを予定していてね」
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作者名：ポン酢 | 作成日時：2021年2月17日 22時
