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「ふむ。決戦前夜じゃというのに、賑やかじゃのう？死地を前にして笑えるとは、頼もしいかぎりじゃ。くっくっく♪」
『お兄ちゃん！』
「おっとと……いきなり抱きつくでないAよ……危ないだろう？」
とか、言いながらちゃんと受け止めてくれるの知ってるんだからね♪
お兄ちゃんの匂い落ち着くなぁ♪
「あっ、朔間先輩。この防音練習室、ちゃんと施錠したのにどっから入ってきたの？」
「我輩は吸血鬼じゃからのう、施錠なんて無意味じゃよ。なぁんての、むかし『やんちゃ』だったころにつくったマスターキーがあるのじゃよ。ともあれ、その様子じゃと初めての本番を前にしても余裕綽々……。とはいかんものの、気力は充実しておるようじゃの？頼もしいかぎりじゃのう。これは期待してもよいのかの、『Trickstar』の諸君♪」
「うむ。この二週間、世話になった……朔間先輩。正直、ここまで全面的に協力してくれるなどと、期待してはいなかった。どれだけ感謝しても足りない、ほんとうにありがとう」
「礼を言われるほどではない。我輩は何もしておらんよ、少々おぬしらの背中を押しただけじゃ。元気のいい若者たちを見ると、こちらも生き返る心地がする。むしろ、感謝すべきは我輩じゃのう♪おぬしらには元々、資質があった。輝く希望の萌芽があった、それがみすみす生徒会に踏みつぶされるのは気の毒じゃ。見飽きたのじゃよ、そんなものは」
お兄ちゃん……
「おぬしらのような若者が、正当に評価もされずに埋もれていくだけ……。そんなのは、歯がゆいからのう？夢ノ咲学院にとって、アイドル業界にとって、いいや人類社会にとっての損失じゃ」
『スケールでかいね』
「お宝が汚され、ゴミ袋に収められて捨てられてしまうのを放置するのは愚かというものじゃ。それに、これは我輩の罪滅ぼしでもある。かつて『五奇人』と呼ばれた我らは、悪の権化のようであった。気ままに遊び回り、夢ノ咲学院を無秩序と背徳の坩堝へと変じさせたのじゃ。そんな『悪』たる我らを征伐し、夢ノ咲学院を平和に導いたのが生徒会じゃった。今の、おぬしらのように……」
確かに昔のお兄ちゃんはオラオラ系だった
今はおじいちゃんみたいになっちゃったけど
「我ら『五奇人』の横暴に惑う生徒たちの願望を、祈りを体現するかのような救世主として、かつての生徒会は在った。歴史は繰りかえす、それが真理じゃ」
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作者名：ポン酢 | 作成日時：2021年2月17日 22時
