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でもね、
貴方のそんな顔見たら、
新しい制服に袖を通せなくなる。
どうかお願いだから、
親友だなんて思わないでください。
そうやって落ち込んでいた帰り道。
6年間を共にしたこのランドセルには、
この気持ち、理解できるんだろうか。
だったら聞いてよ。教えて。
こんなときって、ちゃんと伝えた方がいいのかな。
好きだよって。ありがとうって。
言える気がしないよ…
気配を感じて、後ろを振り向く。
でも、誰もいない。
やっぱり、あなたには分かるんだね。
淡いローズピンクのランドセルは、
色あせることなく、そこにいる。
私の初恋も、色あせずに残り続けるだろうか。
このローズピンクのように、
密かに貴方を想い続けて早4年。
こんな状態で、よく受験を乗り越えたと思う。
「ただいま〜」
そうして我が家に帰ると、
まだ12歳の私を懐かしく包み込む空気。
家族の笑顔と声。
まだ、言ってなかった。
「A、おかえりー」
「うん、ただいま」
「どした？なんかあった？」
「いや、何でもないよ………
ありがとう。」
「なに急に？ほら、おやつ食べよ」
「うん」
このあと、布団に潜って大泣きしたとは、
妹にすら言えなかった。
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作者名：明音 | 作成日時：2016年12月26日 17時
