同居人はユーレイです。【青】

ghost.35 ページ35

一ヶ月以上、毎日一緒に過ごしてきたのに、こんなにもAに関する情報がないなんて。

Aに「待ってて」って言われた話も、結局聞けてないし。

僕ってAのこと、知ってるようで何も知らないんだな。


悔しい。

毎日こんなに近くに居たのに、何も知らなくて、何も力になることが出来ない自分に自分で悔しくなる。




……そうだ、るぅとくん。

るぅとくんなら、何か知ってるかな…。


あ、そういえばあの時……。



＿＿＿＿＿「……あの、ころちゃ＿＿＿」



電話の音に遮られて、聞こえなくて、

後から「何言おうとしてたの？」って訊いたら

「何言おうとしたか忘れちゃいました」

って返されたあの話。


……るぅとくんは、なんて言おうとしたんだろう。



その時は特に気にしなかったけど、そういえば僕が「何言おうとしてたの？」って訊いたら、るぅとくんは一瞬困ったような反応をしてた。


もしかして、Aの話をしようとしてたのかな。

忘れたって言ってたけど、あれはもしかしてはぐらかすための嘘だったんだろうか。


……気になる。



僕はスマホを取り出して、電話をかけた。



「るぅとくん、少し会えない？」





.





「忙しいのにごめんね」

「いえいえ、大丈夫ですよ」



るぅとくんに電話で「話したいことがあるから少し会えないか」と言ったら、るぅとくんはすぐに会う時間を作ってくれた。




「それで、話したいことってなんですか？」

「Aのことなんだけど」

「……はい」



今の妙な間はなんだろう。

やっぱり、るぅとくん、何か知ってそうだな…。

そうでなきゃ、そんな複雑そうな表情をするわけがない。



「……全然成仏出来ないんだよね。
　Aもかなり困ってるみたいで」

「そう、なんですか…。
　どうしてでしょうね…」

「分かんないけど、
　A、何か悩みがあるっぽくて。
　それが関係してるのかなーって」



"悩み"というワードにるぅとくんが少し反応した。


…………もうこれは確定だろう。

るぅとくんは僕が知らないAに関する情報を知っている。

しかもそれは、成仏出来ない理由に関係している。


だったら、訊くしかない。



僕は心の中でAに「ごめん」と謝った。

きっと僕は嫌われてしまう。

それでもいい。Aの力になりたい。

……独りよがりでごめんね。



僕は意を決して口を開いた。




「……ねぇ、るぅとくん。
　Aのこと、何か知ってるよね？」
　

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