青天の霹靂【日々樹渉】 (ページ9)

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秋麗の候ページ9

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幾ら口を開いても音が鳴らないのだもの。
喉の奥から嗚咽が時たま零れ、部屋に響く。

いつもの様によいしょと腰を布団から浮かせたいだけの筈なのに、よの字すら空気を震わせないのだ。

嗚呼、こんなときにあの人にだけは会いたくない。
なんだかんだで心配するもの、優しいから。
会いたくない日に限ってくる日々樹渉を私は期待していた。誰かからの大丈夫ですかの一言を待っていた。

＿＿＿＿私だって人間だ、強がって生きているが毎日毎時間、貴方がくれる時間が眩しすぎて貴方がいない毎日が平凡で寂しいの。

その気持ちから目を背けるようにテレビの電源を付ければそこに映る白い天使たちに目を見開いた。
日々樹渉がいたのだもの。

彼らの歌が四角いデジタルから私の鼓膜を震わす。
彼らを取り囲むうちわを振る私と同い年くらいの女の子の黄色い声。私自身を罵る自分自身の罵声。

なぁ、素直になれば良かったんだよ。
音量をぐんぐん高くして、泣き声を消そうとする。

近所迷惑も今だけだから、この彼らが歌う間だけ免じてくれ。

愛しの彼の声を、聞きたくて、溺れた。

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