検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:2,104 hit

第三幕:普通の伝導者 ページ35

ニューリィジムは、トレーナーズスクールの真横……敷居よりも一段高い丘の上に位置している。
整備され、簡易的だが客席も用意されている。


その中央で、このジムの主人______ノーマルタイプのジムリーダー、ミカナは待ち構えていた。



「……、来たね、チャレンジャー!」



ドアが開くのを察知し、ミカナは振り返る。その先には、一皮剥けたとまでは行かなくとも、何かしらとっかかりを掴めたような、ようやく覚悟に向き合うスタートラインに立った少年がいた。

その顔を見て、ミカナは頷く。
確か、彼の相手をしたスクール生は、この子だったはず。自分の見込み通り、良い具合に緊張をほぐし、背中を押してくれたらしかった。


「ここはニューリィジム。……って、ああ、そんなこと言わなくても知ってるか〜!」



朗らかに言ってのける。が、挑戦者である少年……ニオの顔には強張りが残る。
けれどこれは、むしろ良い傾向だ。適切な緊張は、質の良いパフォーマンスを生む。



「自己紹介も、さっき済ませちゃったし、早速始めよう?」


ミカナが取り出したボールは2つ。
相対するニオの手持ちは1体……チコリータのみ。


(……回復は済ませてある。ジムリーダーさん、強そうだけど……ぼくだって……っ!!!)



決意を、胸に。
ニオは、チコリータの入ったボールを手にしっかりと握りしめる。



「_______よろしくお願いします!」











ー ー ー

ー ー ー



「ちょっと、早く!もう始まってるよ!」
「れ、レイナさん……元気ですね……ぼく、少し……休憩させて……ほし……」



ギャラリーのようになっている、二階の観戦席。
ニオより一足先にジム戦を終えたシルフォスは、二足先に終わっているレイナに、引っ張られるようにして、階段を上り切った。

いくら間を置いたとはいえ、全力のバトルを二連戦。ポケモンの体力は回復できても、人間のスタミナは据え置きだ。


……だと言うのに。




「チラーミィ、《スイープビンタ》だよ!」


ミカナのキレのある指示に従い、チンチラポケモンのチラーミィが、強く地面を踏み込む。
あまりの速さに、回避は間に合わないと判断したチコリータは、“受け”に徹する。




「__速い、ですね」
「うん、私とシルフォスくんを相手にした後なのに、ミカナさん、全然疲れてないみたい……」



シルフォスの言葉に、レイナも同意する。
ジムリーダーの底力……その一端が、垣間見えているかのようだった。

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (13 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
14人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:じぇっと | 作者ホームページ:明日のストラナでお会いしましょう。  
作成日時:2024年12月24日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。