黒髪×計算 ページ13
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“近づいてよ 射程距離まで 確実にRock”
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成績そこそこ、素行そこそこ、顔そこそこ、服装そこそこ、目立ち度そこそこ。
そこそこの人生でいいと思っている私は、クラス内でも中の下ぐらいを目指して。
現状うまくそこそこでやれてると思う。
そんな時だった。
いつものように購買に行ってパンを買った帰り、
「いいじゃねぇかよ、ほら出せって。」
「・・・ちょ、止め」
「あぁん？なんか文句あんのか!?」
・・・あれは、もしや。
校内の不良グループに囲まれているのは、同じクラスの大倉くん。
顔が見えないほどの長い前髪、黒縁メガネ、いっつも来ているのは白色パーカー。
俗に言う冴えない系男子。
あー、かわいそうに。絡まれちゃったんかぁ。
助けてあげたいけど、私じゃどうしようもないし次の標的にされるのもなぁ・・・
そう思って、大倉くんに心の中で手を合わせて、この場を立ち去ろうとした。
すると、
「なんか言えよ、オラァ!!!!」
そう言われ、右頬を殴られた大倉くん。
黒縁メガネが吹っ飛び、そのまま床に倒れ込む。
そして前髪を掴まれ、ガッと上を向かされた。
露わになった素顔。
・・・あんな顔してるんだ。意外とっていうかかなり美形。
そう思った、
次の瞬間。
「_____________っ!!!!!」
ハッと、息が詰まった。
バチッと視線がかち合った。
胸を銃弾で打ち抜かれたようなそんな感覚。
見られた、ヤバい。マズイ、逃げなきゃ。
そんな気持ちなんてどうでもよくて。
ただうまく言えないけど、大倉くんに私の何かを奪われたようなそんな感じで。
大倉くんはそんな私を見透かすように、フッと笑った。
そして。
ドスッ、バキッ、ドサッ
「うっ・・・。」
一瞬。ホントに一瞬。床に倒れ込むのは不良グループ。
髪を掻き上げながら彼らを冷たい目で見下ろすのは、冴えないとはもう言い難い。
ドスの効いたひっくい声でこう告げる。
「・・・あんま舐めてると、次はこんなんじゃ済まんぞ。」
・・・同一人物、なんだろうか。
私と同じようなそこそこ族の大倉くんはどこへ?
不良グループは蜘蛛の子を散らすように逃げて行って。
残されたのは、制服のほこりを払う大倉くんと、陰で見てる私。
・・・これは私、立ち去った方がいい感じ?
なんて声を掛ければいいか分かんないし、むしろその一面知らない方がいい感じだし。
そう思ってそろっと立ち去ろうとしたその時。
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「・・・なぁに逃げようとしてるん?」
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作者名：なるせ* | 作成日時：2018年5月16日 4時
