黒髪×メガネ ページ1
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「あれ？今日メガネなの？」
「はい、コンタクト入れたらめちゃめちゃ目痛くて。」
そう言って黒縁メガネをくいっと押し上げるのは、後輩の大倉くん。
少し目が赤い気がするのはそのせいか。
私の2コ下で、人懐っこさと愛らしい笑顔が売り。
・・・というのは、新人研修の時に彼の指導係の私がした評価。
「そっか・・・大丈夫？」
「あ、はい！言うほどめちゃめちゃ痛いわけでもないんで。」
「ん？痛くないの？」
「あ、いや、痛いのは痛いんですけど・・・」
「結局どっち(笑)」
「えっと・・・うーん・・・。」
「いやいや、そんな悩まなくていいから(笑)
・・・まぁでも、いいんじゃない？メガネ。」
「え。」
「似合ってるよ。なんか、すごく仕事できそう。」
そう褒めると、パァァと瞬間明るくなる顔。
この顔が大倉くんの一番の武器だと、私は思う。
だって、本当に嬉しそうなんだもん。
そんな顔されたら、される方は誰でも喜ぶだろうなぁ・・・なんて。
「え！うわぁ、何か嬉しい。」
「ふふ(笑)それはよかった。」
素直なところも武器の一つ。
「・・・あの、先輩。」
「ん？何？」
仕事しよっか。と言うと大倉くんから名前を呼ばれて。
振り向くと、何だか真剣な表情。
「・・・どうしたの？」
「一つ、聞いてもいいですか。」
「・・・はい、どうぞ。」
仕事でなんかやらかしたんだろうか。
そう思って大倉くんのことが心配になるのは、指導係だったからなのか。
大倉くんは膝の上に置いた拳をぎゅっと握りしめた。
「・・・どっちが好きですか。」
「・・・。」
「メガネかけた僕と、かけてない僕。」
「・・・へ？」
間抜けな声が出た。
真剣な面持ちだからこっちも身構えたのに。
どういう質問なのよ、それは(笑)
「大丈夫だよ大倉くん。
メガネかけててもかけてなくても、どっちも貴方はイケメンだから。」
大倉くんの真剣な表情と質問の内容のアンバランスさに思わず笑ってしまって。
笑いながら軽ーく答えたのに、大倉くんの表情は険しいまま。
「そういうことじゃなくて。」
「え??」
「僕は、先輩の意見が聞きたいんです。
A先輩の独断と偏見で構わないので。
・・・どっちの僕が、好きですか?」
メガネの奥の瞳は、私を捉えて離さない。
「えっと・・・個人的には裸眼が好きだけど、
でも時々メガネも悪くないと思う、よ?」
戸惑いながら答えると、
「じゃあ僕、時々メガネにしますね!」
えっと・・・。
大倉くん。その言葉の真意、教えてもらっていいですか?
end.
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作者名：なるせ* | 作成日時：2018年5月16日 4時
