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『ここまで、来れば、大丈夫、かな……』
アジトから全力疾走した三人は、呼吸が荒い。大分距離を稼げたはず。
変装のつもりか、Aはフードを深く被り、凹凸の目立たないオーバーサイズの服を着ていた。
ゴンの右手甲は裂挫創になり、キルアの足首は皮膚が擦りきれている。赤黒く変色して痛々しい。しかしこの程度で済んだのは、存外運が良かったと言えるのかもしれない。
すると、ずっと黙っていたキルアが口を開いた。
「A、何で来たんだよ」
声を荒げることはなかったが、彼の声音から怒りが伝わってきた。
「
「キルア！ Aのおかげで、オレ達逃げられたんだし」
「もしもAまで捕まってたら、そん時は本当に終わりだった」
ゴンが宥めようとするのに反し、キルアは語気を強めた。
尾行で判断を誤ったこと。ゴンの生死がかかっている場面で動けなかったこと。結局、私に助けられたこと。情けなさ、己の無力さに落ち込んでいるのだろう。それ故か、キルアは私の方を見てくれない。
Aはキルアの頭を軽く
『その点は大丈夫！』
Aは平気そうに笑った。
Aはゴンに上着のポケットを探るように言う。ゴンが見つけたのは、ポケットの裏地に縫い付けられた超小型の機械。
「これ……!?」
『盗聴器。あと携帯のデータから位置を追ってきた』
「ずっと聞いてたのかよ……」
キルアは決まりが悪そうに視線を逸らそうとした。Aは、そんな彼の拳を両手で優しく包み込んだ。
『キルア、勝手に死のうとしないでね』
Aの手は震えていた。それに気付いたキルアは小さく頷いた。
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帰り道、Aの携帯電話から着信音が鳴った。
「クラピカから？」
『ううん、違ったみたい。ちょっと出てくる』
キルアとゴンと別れて、Aは路地に入った。街路灯がアスファルトを淡く照らしている。
着信に出る。
その時、ふわりとバニラ香りが鼻腔をくすぐった。ガクンと体から力が抜ける。
古い民謡が聞こえる。親が子を寝かすようなゆったりとしたメロディ。子守唄のようなやさしい調べは、オルゴールのゼンマイが切れて、物哀しく終わりを告げる。
「良い夢を」
水銀灯へ向かって真っ直ぐと羽虫が飛んでいく。その瞬間バチッと感電したみたいに、Aの意識は闇に閉ざされた。
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冬瀬(プロフ) - つんつんさん» いつもコメントありがとうございます！他作品と被らない展開にしたいと思って試行錯誤してるので嬉しいです！！ヨークシン編途中ですが、ここで続編に移行します。続きも楽しんでもらえると幸いです！ (2022年1月16日 6時) (
レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
つんつん(プロフ) - 今まで結構な数のハンタ夢小説を読んできたと思っているのですが、このパターンは初めてですごい新鮮味があって続きが気になります！次回も楽しみにしてください！ (2022年1月16日 3時) (レス) @page44 id: 6a1440072c (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» 反応が速い!? 早速すぎてびっくりしました。めちゃ嬉しいです！次回は来年更新しますね〜！つんつん様もよいお年を。 (2021年12月29日 17時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
つんつん(プロフ) - きゃぁ〜！やばいですね夢主ちゃんカッコ良すぎます。こんなんなったらキルアもゴンも惚れちゃいますね私は惚れました。2021年夢主ちゃん大活躍で終われそうでもう何も悔いはないです。そして！またまた良いところで終わりましたね〜！続きも楽しみに待ってます (2021年12月29日 17時) (レス) @page41 id: 6a1440072c (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» いつも感想ありがとうございます！続き更新しました〜。夢主活躍回！ぜひご覧ください (2021年12月29日 16時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬瀬 | 作成日時：2019年6月24日 0時
