思案 ページ25
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――告げるべきだろうか
Aの脳裏には、シャルナークと共に過ごした記憶が鮮明に浮かんでいた。
彼が盗賊であることは承知の上だったから、今さら憎悪や嫌悪感を抱くわけではない。たとえ、
もしA達が旅団員を捕らえたとき、きっと彼はAでなく旅団を優先するだろう。だからこそ、彼は団員であることを隠し、別れた後は深く関わらない約束をしたのだ。
――やっぱり、私は……シャルに捕まってほしくない。
しかし、この状況でAの願いは深刻な弊害になる。A一人のわがままであっても、ゴンはうんと頷くかもしれない。もし旅団から手を退けば、グリードアイランドの入手は不可能になってしまう。
Aの持つ彼の情報は少なくとも手がかりにはなるが、ゴン達に容易く教えていいことなのか。一方で、隠すことは友人として裏切りに値するのではないか。
こんな時、何を基準に決めたら良いんだろう……。一緒に過ごした時間の長さ?初めて出会った順番?距離?関係性?
優先順位の決め方なんて、分からなかった。始めての経験に、Aは戸惑いが隠せなかった。どうしようもなく、もやもやした気持ちで胸の中がいっぱいだった。
ふと、頭にキルアの姿が浮かんだ。
Aは、いまだキルアに昨夜のことを謝れていなかった。Aが声をかけようとする度、意図的に避けられているのが感じとれた。
ぎくしゃくした空気の居心地の悪さより何よりも、キルアに
そういえば、キルアは旅団との関係をどうして疑っていたんだろう。昨日の時点では、旅団について触れていなかったのに……。
――何にせよ、隠し事をすることになってしまった。一度ついてしまった嘘だ。最後まで
そのとき、左手に持っていた携帯電話が震えて、Aの意識は強制的に引き戻された。
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冬瀬(プロフ) - つんつんさん» いつもコメントありがとうございます!他作品と被らない展開にしたいと思って試行錯誤してるので嬉しいです!!ヨークシン編途中ですが、ここで続編に移行します。続きも楽しんでもらえると幸いです! (2022年1月16日 6時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
つんつん(プロフ) - 今まで結構な数のハンタ夢小説を読んできたと思っているのですが、このパターンは初めてですごい新鮮味があって続きが気になります!次回も楽しみにしてください! (2022年1月16日 3時) (レス) @page44 id: 6a1440072c (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» 反応が速い!? 早速すぎてびっくりしました。めちゃ嬉しいです!次回は来年更新しますね〜!つんつん様もよいお年を。 (2021年12月29日 17時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
つんつん(プロフ) - きゃぁ〜!やばいですね夢主ちゃんカッコ良すぎます。こんなんなったらキルアもゴンも惚れちゃいますね私は惚れました。2021年夢主ちゃん大活躍で終われそうでもう何も悔いはないです。そして!またまた良いところで終わりましたね〜!続きも楽しみに待ってます (2021年12月29日 17時) (レス) @page41 id: 6a1440072c (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - つんつんさん» いつも感想ありがとうございます!続き更新しました〜。夢主活躍回!ぜひご覧ください (2021年12月29日 16時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬瀬 | 作成日時:2019年6月24日 0時