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私は生まれつき呪われているらしい。
触れたものを凍りつかせる不思議な力、それを呪いと言わず何という__
そう言ったのは、突然私の前に現れて幸せな日々を壊したあの男。
あいつの耳障りな声は今も頭にこびりついたまま
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『っ、夢……か』
久々に嫌な夢を見てしまった。最近は見てなかったのに__
Aが顔を上げると、地下道は多くの人で溢れかえっていた。
「あ、起きた」
明らかにAに向けて発せられた声。左隣に銀髪の少年座っていた。年齢はAとほとんど変わらないだろう。驚いて間の抜けた声が出てしまう。いつから隣にいたの?普通なら足音とかで気付くのになぁ……。
目深に被ったフードで隠れたAの顔を、少年は覗き込むようにして見つめた。パチリと少年の青い瞳と目が合う。Aが戸惑って目線を逸らすと、少年はどこか面白くなさそうに口を開いた。
「うなされてたから心配したんだぜ」
『ありがとう?』
何で見知らぬ少年に心配されてるんだ?と思いつつも礼を言う。
少年はポケットに手を入れたまま軽々と立ち上がった。座ったままも何だから、立ち上がって服を軽く払った。
「オレ、キルア。あんたは?」
『私はA、A=アールグレイ!12歳だよ』
「ふーん、Aね」
自己紹介なんて数えるほどしかしたことない。考えていた言葉は喉につっかえてしまう。
少年もといキルアからは興味なさそうな素っ気ない返事が返ってきた。そっちから聞いてきたのに。
「じゃあ、お互いがんばろうぜ」
そう言い残して、すたすたと歩いていくキルア。振り返らず手を振るのが見える。
『あっ!待っ…………』
__ジリリリリリリリリリリリ
突然けたたましい鐘の音が地下道に響き渡った。それによってAの声は完全にかき消されてしまう。ようやく音が鳴り止んだ頃には、キルアの姿は人混みに紛れて見えなくなっていた。
「ただ今をもって受付時間を終了いたします」
手足の長いすらりとした男性が告げた。受験生達の間に緊張が走る。
ついに試験が始まるんだ。でも、私、これで良いのかな。分かんないよ__Aは否定的な考えを払おうと頭を左右に振った。
「では、これよりハンター試験を開始いたします」
複雑な気持ちが入り混じる中、ハンター試験の始まりが告げられた。
(キルアに友達になってって言えなかったなぁ…………)
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冬瀬(プロフ) - 作者です。誤字等、まとめて修正しました。 (2022年3月5日 9時) (レス) id: 033bbfc38e (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - 妄想癖さん» 質問ありがとうございます!光の加減で、白色(限りなく無色透明)に見えるイメージです(言葉にしがたい)。光の反射とかで頭皮は見えないはず 笑。。「宝石の国」のキャラクター達みたいな感じです(気になる方は調べてみて) (2021年2月16日 13時) (レス) id: d80ecf15a6 (このIDを非表示/違反報告)
妄想癖(プロフ) - 無色透明ってことは禿げて見えるんですか?! (2021年2月8日 0時) (レス) id: 36f953a85d (このIDを非表示/違反報告)
冬瀬(プロフ) - 作者です。ちまちま修正中。 (2020年2月27日 23時) (レス) id: d80ecf15a6 (このIDを非表示/違反報告)
しらほ(プロフ) - フォスさん» きっとトプ画のことですね??多分。一言添えていますがトプ画は雪兎様に描いて頂きました。とても可愛いですよね!! (2019年2月24日 23時) (レス) id: 5f12e77188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬瀬 | 作成日時:2018年8月15日 19時