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「あ゛ーーーーーーあっちい!!!!」
「A、ドリンク貰えるか」
「はい、新開さん」
ドリンクサーバーからスポーツドリンクを注ぎ、その紙コップを新開さんに渡す。
そのあともゾロゾロと群がる部員たちにドリンクを渡し、
列がなくなったところで、一つ、紙コップにドリンクを注ぎ、きょろ、とあたりを見渡す。
――――いた!
「あ、あの、荒北さん」
「あ?」
「ドリンクどうぞ!ボトルに入ってるの、もうぬるいですよね」
「あー、あンがとよ」
紙コップを受け取り、中のドリンクを一気に飲み干す荒北さん。
汗、かいてる。
そうだよね、こんな炎天下で走ってたんだもんね。
汗を流す姿すらかっこよくて、思わず見つめる――――けど、
「Aさぁん、俺にもドリンク下さ〜い」
後ろから、あのお気楽な声。
「…真波くん」
「俺も喉乾いちゃいました」
「はいはい、待ってて」
泣く泣く荒北さんの傍を離れ、サーバーが置いてあるベンチに座り、ドリンクを注ぐ。
………自分で注げばいいのに!
紙コップだってほら、サーバーの隣にあるじゃん…!
「だってAさん、荒北さん見すぎなんですもん」
「っ!」
耳元でそう呟かれ、思わず紙コップを落とす。
びしゃ、とドリンクが私の太ももにかかり、その冷たさに身を縮めた。
けど、そんなことどうだっていい!
「…私、声に出てた?自分で用意しなよって」
「んー、顔に書いてありました」
「そっか…。できれば声に出さないでもらえるとありがたかった」
「あー、俺、思ったこと口に出ちゃうからなぁ。
それより、大丈夫ですか?ドリンク、かかってます」
「ひゃ、」
真波くんはベンチに座る私の前にしゃがみ込み
持っていたタオルで、私の太腿にかかったドリンクを拭った。
突然のことに驚いて、変な声が出る。
「あー、スカート結構濡れてますね。水じゃないし、早く脱いで洗ったほうがいいですよ」
「あ…う、うん。ありがとう。…ね、あの、手、どけて」
「え?」
「くすぐ、ったい…の」
太腿にかかる 意外とごつごつした男の子らしい手。
なぜか自分以外の人間が体に触れると、過剰にくすぐったさを感じる。
私の顔を見た真波くんは、ごくりと喉を鳴らし 立ち上がり、耳元でこう言った。
「Aさん、えろ」
そう言って、にやり、と彼は笑ったのだった。
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桃(プロフ) - さゆりん★さん» ご愛読と応援ありがとうございます!展開が気になる、と仰って頂けると、どう書こうかなぁ、と先を書くのが楽しみになります。荒北さん素敵ですよね、今度荒北さんの小説書こうかなぁ…。キャラの性格と言葉は気を使っているので着目して頂けたのが嬉しいです(^^♪ (2019年6月11日 21時) (レス) id: b8ab658ad3 (このIDを非表示/違反報告)
さゆりん★(プロフ) - めっちゃくちゃ面白いです!!いつの間にか次ボタン押していて、一気に読んでました… 展開がものすごく気になります!!真波くんは可愛いけど、私はちょい荒北押しかも… キャラの性格も言い方ぴったりすぎて、普通に声優さんの声が聞こえます (笑) 応援しています!! (2019年6月11日 13時) (レス) id: 269cb7a691 (このIDを非表示/違反報告)
桃(プロフ) - 陽愛さん» 初めまして、ご愛読と応援ありがとうございます(#^^#)評価ももちろん嬉しいですが、こうしてコメントを頂けることが何よりも嬉しいです!陽愛様のコメントが私の創作意欲を掻き立ててくださいます(*'▽')これからもよろしくお願いします! (2019年6月5日 8時) (レス) id: b8ab658ad3 (このIDを非表示/違反報告)
陽愛 - 初めまして!いつも楽しみに読んでいます(^^)高評価が何度も押せればいいのですが(>_<)これからも応援しています! (2019年6月4日 22時) (レス) id: 99136d3c89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桃 | 作成日時:2019年5月12日 11時