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「あー、黒田が引き離しにかかったぞ」
レースが始まり、車の中で荒北さんがそう言う。
私は一番後ろの席で 腕時計で時間を確認し、ノートに時間と今の状況を書く。
「下りで差をつけるつもりか」
「動かないぞ真波ぃ！登りで勝負かける気だな真波ぃ！」
「(東堂さん声大きい…)」
ちらりと先輩方と泉田くんを見ると、皆 それぞれ東堂さんを一瞥し、ため息をつく。
皆考えることは同じなんだな…。
そのままレースは続き、山に差し掛かる。
真波くんは動き、黒田くんは真波くんの行く手を阻む。
あぁ、と声が漏れそうになる。
真波くん、あれじゃ行けない…。
真波くんもクライマーだけど、黒田くんもクライマーだ。
登りはほかの選手より格段にうまい。
たまらず下がる真波くんを見て、思わずごくりと息をのむ。
と。
「黒田が動いたァ！」
「真波が何か言ったのか？」
「真波も動くぞ！」
「抜く気かァ？！どうやって？！」
その瞬間、車体が揺れる。
「(なに…、風？)」
そう思ったのもつかの間、車内がざわついた。
急いで前を見ると、そこには大きく先方に飛び出す真波くんと
置いてけぼりにされた黒田くん。
「(え…っ、今の追い風に乗ったの？)」
どくん、と心臓が跳ねた。
いつ来るかわからない風を？絶対に味方にできっこない自然を？
凄い、凄い。
「(真波くんは、凄い…！)」
――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――………
「…というわけで、インハイ６人目のメンバーは、真波山岳に決定した」
レースが終わった部室で、福富さんからそう告げられる。
当の真波くんといえば、福富さんの隣で「頑張りまぁす」と呑気に言う。
驚愕と声援でざわつく部室。
私もぱちぱちと拍手を送った。
ちら、と部室内を見渡すと。
「(黒田くん…いない…)」
真波くんが勝ってうれしい。
けど、黒田くんが負ければいいとか、そんな風に思ってなかった。
どちらかが勝てば、どちらかが負ける。
ロードレースは過酷だ。
私はこっそり部室を抜け出して、あたりを見渡すと
近くのベンチで、頭を抱えてうつむく黒田くんがいた。
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桃(プロフ) - さゆりん★さん» ご愛読と応援ありがとうございます！展開が気になる、と仰って頂けると、どう書こうかなぁ、と先を書くのが楽しみになります。荒北さん素敵ですよね、今度荒北さんの小説書こうかなぁ…。キャラの性格と言葉は気を使っているので着目して頂けたのが嬉しいです(^^♪ (2019年6月11日 21時) (
レス) id: b8ab658ad3 (このIDを非表示/違反報告)
さゆりん★(プロフ) - めっちゃくちゃ面白いです！！いつの間にか次ボタン押していて、一気に読んでました… 展開がものすごく気になります！！真波くんは可愛いけど、私はちょい荒北押しかも… キャラの性格も言い方ぴったりすぎて、普通に声優さんの声が聞こえます (笑) 応援しています！！ (2019年6月11日 13時) (レス) id: 269cb7a691 (このIDを非表示/違反報告)
桃(プロフ) - 陽愛さん» 初めまして、ご愛読と応援ありがとうございます(#^^#)評価ももちろん嬉しいですが、こうしてコメントを頂けることが何よりも嬉しいです！陽愛様のコメントが私の創作意欲を掻き立ててくださいます(*'▽')これからもよろしくお願いします！ (2019年6月5日 8時) (レス) id: b8ab658ad3 (このIDを非表示/違反報告)
陽愛 - 初めまして！いつも楽しみに読んでいます(^^)高評価が何度も押せればいいのですが(>_<)これからも応援しています！ (2019年6月4日 22時) (レス) id: 99136d3c89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桃 | 作成日時：2019年5月12日 11時
