夜空の星になれたなら【男主】 (ページ32)

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床を見つめながらポツリと話し始める

『…僕ら家族、父方と母方の両親は既に亡くなってて、兄弟とか遠い親戚とか、そういういざという時に頼れる存在もいなくてね』
『頼れるのは僕ら家族だけ、だから互いに助け合って生きてた。でも父も母もすごく寛大な人だったから、幸運なことに挑戦したいことには挑戦させてくれる環境だったんだ』
『そんな父と母だから、アイドルになりたいって言った時にも、日本で練習生になろうとしてた僕を快く韓国に送り出してくれてね』

ハルトくんは僕を見つめ、時折頷き話を聞いた

『そんな両親が居たから長い間練習生として夢を追いかけて来たんだけど…』
『…去年突然父が亡くなって、当然だけど母が日本で1人で暮らすことになってね。………時折心配になるんだ。
また僕が居ない時に何かあったら？もしも母に危機があったら1番に駆けつけられる？って』
「…………うん」
『僕にとって1番大切なたった1人の家族と、5年間叶わなかった僕の夢を天秤にかけた時、家族のそばにいることが僕にできる最善の策じゃないのかなって思ったんだ』

『だから、今回が最後』

眉を下げて僕を見つめるハルトくん
その目からゆっくりと涙が流れた

『あ……泣かないでハルトくん。ごめんね、悲しませたくはなかったんだけど』
「ううん、ごめん僕こそ泣いちゃって…
ただAくんの気持ちがあまりにも綺麗で…」
『………ハルトくんは優しい人なんだね、ありがとう』

頬を流れる涙を拭ってあげると、その手をハルトくんが握った
普段は少しお調子者で明るいハルトくんのまっすぐな目に見つめられ、瞳がキラリと揺れる

「…Aくんの思いを全てわかってあげれることはできないって分かってる。
でも、……もしも全ての原因が自分にあると思ってるなら、それは絶対に違うよ」

ストン、と下りる
ハルトくんの言葉に目を見開いた

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