私を知らない貴方へ3 ページ44
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幸いにもほとんど立地は変わってなくて逃げやすい。
でも六眼を持った悟相手にかくれんぼは無謀すぎる。
現に呪力を探ってみても、
まっすぐこっちに来る大きな気配が嫌でも視える。
近づけばまた逃げて、また気付かれる。
もうずっと繰り返している。
いつだったか、悟と暮らし始めて暫く経った頃、
こっそり硝子さんが
昔の五条は女性関係がだらしなかった、と教えてくれた。
来る者拒まず去る者は追わず
学外ではいつも隣に違う女性を連れていた、と。
『…。』
少しの時間だけ、目が合った。
いつもの優しい視線ではなかったけど、
体が痺れて、動けなくなるかと思った。
：
：
『…さとる、』
薄らと赤く、握られた痕の残る右腕を撫でる。
もう2週間、貴方に会えてない。
早く名前を呼んで、
頬を撫でて、
頑張ったね、って褒めて欲しい。
『……会いたい…。』
「誰に。」
『っ、』
「もう逃げんな。追いかけんのは嫌いなんだよ。」
グラウンド脇の倉庫の裏に隠れて、
帰りたいと感傷に浸っている内に見つかってしまった。
逃げ道も塞がれ、じりじりと追いつめられ、
ただ小さくしゃがみ込む。
目の前にいるのは、
悟だけど、悟じゃない。
顔も声も同じで、
益々彼に会いたくて仕方ない。
『…なんで、追いかけてくるんですか？』
「……誰に会いたいんだよ。」
『…五条さんではないです。』
「さっきは悟って呼んだろ。」
『……癖です。会いたい人も、同じ名前なので。』
「………。」
急に黙り込んだ悟の顔を見ると、
少し複雑そうに眉間に皺が寄っている。
そのまま左手を掴んで
薬指の指輪を見て、
呪いだな、と皮肉って舌打ちされた。
『…ふっ、』
「何笑ってんだよ。」
変な人が寄ってこないようにと悟に渡された指輪を、
十数年前の悟が不快そうに見つめている。
これをくれたのも、
私を呪っているのも貴方だと話したらどんな顔をするだろう。
『何でもないです。もう帰っても良いですか？』
「駄目。…ねえ、それくれた悟じゃなくて、俺と付き合おうよ。」
『嫌です。』
「何でだよ。」
『私の悟の方が優しくて、強くて、格好良いから。』
「冗談だろ。てか紛らわしいんだよ。そいつのこと悟って呼ぶのやめろ。」
『五条先生って呼んだら怒るくせに。』
「はあ？」
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茉莉 - この作品が好きです。更新、待ってます！ (2020年11月22日 22時) (
レス) id: a68061a5cd (このIDを非表示/違反報告)
Gettion - え…心臓痛くなるくらい好きです。応援しています！ (2020年11月6日 18時) (レス) id: b24edd395c (このIDを非表示/違反報告)
uka8502(プロフ) - 更新停止ですか??ホントに面白すぎてハマりました！一気に見ました!!更新ホントにお願いしますっ！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: 7913de20e0 (このIDを非表示/違反報告)
AiRIN(プロフ) - いつも楽しく拝見しています！正直、縞さんの作品ならどれも大歓迎ですが、しにたがり姫か好きなので、続編を待ってます！ (2020年5月17日 13時) (レス) id: 931e2c7403 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：縞 | 作成日時：2020年4月3日 2時
