私を知らない貴方へ ページ42
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一体、何が起こったのだろう。
担任の五条先生は別任務で地方へ。
残された私たちは
新田さんの引率で都内の廃ビルで呪霊を祓う任務へ。
すばしっこい呪霊に新田さんが捕まったり、
途中で悠仁が行方不明になったり、
すっかり時間は夜中になっている。
『…?』
そして外灯も消えるほど更けた夜の中、異変は起こった。
重い足で門前の階段を上っているところ、
重い瞼を擦って開いた途端、
真っ暗だった空は夕暮れに。
隣にいたはずの野薔薇も、
前を歩いていた恵も悠仁も居なくなった。
辺りを観察してみても、高専にいることは変わりない。
呪霊も感じないし、結界が張られている様子もない。
少し考えてみたが、何が起こったのか見当もつかない。
ただ階段の上には数名の呪術師の気配がする。
とにかく高専に入って誰かと合流しようと決め、足早に階段を登った。
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『…っ、ごめんなさ、い…―』
「あっぶね。」
「大丈夫?ほら、ちゃんと前見て歩かないから…」
「…ん、なになに?」
上まで登りきったところで突然現れた人影にぶつかった。
反動で後ろによろけ、階段を落ちそうになるのを
ぶつかった人の大きな手が伸びて助けられる。
感じていた呪術師の気配はきっとこの人達だ。
声のする方に目を向け、いちばん最初に視界に入ったのは
大きな体に長い髪を結った男の人。
落ち着きのある大人な雰囲気で優しそう。
「制服を着てるってことは、学生かな?」
優しい笑みを浮かべながら伸ばされた手を
もう片方の空いていた手で取る。
1年と2年の顔なら、乙骨先輩以外は知っている。
面識がないということは、3年生か4年生なのだろうか。
「見たことない顔。編入生?」
『……硝子、さん?』
後ろから顔を覗かせ話しかけてきた女性は
少しだけ幼いが、硝子さんに本当に似ている。
心配なほどに白い肌に、綺麗な泣きボクロ。
印象的な目の下にあるクマは少しだけ控えめだ。
「んー?」
「知り合いなのか?」
「見覚えないなぁ…。」
「…変だな。硝子は有名だけど、悟みたいに顔が知れてるわけじゃないし…。っていうか、いつまで手を掴んでるんだい?いい加減離して謝りなよ、悟。」
「…。」
『…っ、』
私の手を掴んだままの、
大きな手をした彼の顔を見上げる。
『… さとる……?』
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茉莉 - この作品が好きです。更新、待ってます! (2020年11月22日 22時) (レス) id: a68061a5cd (このIDを非表示/違反報告)
Gettion - え…心臓痛くなるくらい好きです。応援しています! (2020年11月6日 18時) (レス) id: b24edd395c (このIDを非表示/違反報告)
uka8502(プロフ) - 更新停止ですか??ホントに面白すぎてハマりました!一気に見ました!!更新ホントにお願いしますっ! (2020年10月19日 1時) (レス) id: 7913de20e0 (このIDを非表示/違反報告)
AiRIN(プロフ) - いつも楽しく拝見しています!正直、縞さんの作品ならどれも大歓迎ですが、しにたがり姫か好きなので、続編を待ってます! (2020年5月17日 13時) (レス) id: 931e2c7403 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年4月3日 2時