琥珀色の宝石2 ページ32
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「ねえA。今日はお兄さん来ないの？」
『急な仕事がなかったら来ると思うよ？』
「ホントに？早く来ないかなぁ。」
「仕事って学校の先生だっけ。」
『うん。お弁当作ってって言われたから、お昼には来ると思う。』
午前の競技の合間の30分程度の休憩時間。
同じクラスで普段から仲の良い友達と3人で、
人混みから離れて日陰で涼みながら談笑する。
普通の中学に入り、普通の学生生活を送り、
人生で初めて出来た普通の友達。
悟に出会っていなければ、
どれも触れられなかったものばかり。
来年からは呪術高専に入学する私にとっては、
一般人を装う生活は今年が最後になる。
こんな力を持って生まれて、
本来なら絶対に見られなかった景色や思い出。
そう思えば１つ１つの他愛のない会話や時間が、
大袈裟なくらい尊く感じられた。
「あんなイケメンが家にいるってなに？」
「しかもめっちゃAのこと大事にしてるし。間違っても彼氏なんか作らせる気ないよね。」
「あの顔毎日見てたら彼氏なんか要らない。」
「ホントそう。その辺の男は目に入らん。」
『…私も不思議だよ。何でこんな大事にしてくれるんだろ…。』
よく学校に顔を出す悟のことは、
上京した私の面倒を見てくれている
遠い親戚のお兄さんだと説明している。
任務や学校で本当に忙しいはずなのに、
学校行事に少しの時間でも来てくれる悟。
何度断っても、黙って内緒にしていても、
欠かすことなく、ついに3年になってしまった。
引き取られた頃は、悟にとって私は
何か利用できる価値があるんだと思っていた。
そうじゃなければこんな面倒を引き取る筈がない。
静かに眠れる場所と、美味しい食べ物を与えられ、
いつかはこの優しさの意味が分かるのだと思っていた。
悟になら、それでもいいと思っていた。
でもいつまで経っても、あの人は暖かい。
傍にいるのが心地良くて、ひどく安心する。
私を見る目は本当に愛おしそうで、
もう憶えてもいない家族とつい重ねてしまう。
『…はぁ。会いたいなぁ。』
「は？毎日会ってんだろうがよ。贅沢言うな。」
「分かる！大事な人にはいつでも会いたいよね。顔見たいよね。私も彼氏に会いたいよぉ。」
「行けばいいだろ！ほら、向こうで馬鹿みたいに騒いでる。」
「ちょっと！人の彼氏に馬鹿って言わないで！」
『藍ちゃんの彼氏も一緒に騒いでるよ。』
「…可愛い。」
「コイツ…、」
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茉莉 - この作品が好きです。更新、待ってます！ (2020年11月22日 22時) (
レス) id: a68061a5cd (このIDを非表示/違反報告)
Gettion - え…心臓痛くなるくらい好きです。応援しています！ (2020年11月6日 18時) (レス) id: b24edd395c (このIDを非表示/違反報告)
uka8502(プロフ) - 更新停止ですか??ホントに面白すぎてハマりました！一気に見ました!!更新ホントにお願いしますっ！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: 7913de20e0 (このIDを非表示/違反報告)
AiRIN(プロフ) - いつも楽しく拝見しています！正直、縞さんの作品ならどれも大歓迎ですが、しにたがり姫か好きなので、続編を待ってます！ (2020年5月17日 13時) (レス) id: 931e2c7403 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：縞 | 作成日時：2020年4月3日 2時
