お掃除と本 3 ページ6
「ちっ違うよ環くん……！！ 隠し事とかそういうのじゃなくて……」
「うわっエろ本じゃん！ なんでこんなん隠してんの」
……あれ？
手を前で確認すると、いつの間にか本はなくなっていた。
あの本は今環くんの手元へと行き渡っている。
僕が環くんの言葉に動揺している時に取られてしまったのか……この手の話には弱い僕だ。
環くんの冷ややかな目が、僕の心に大ダメージを与えた。引かれた。これは確実に引かれてしまった。
見つかってしまったのなら、もう後に引けない。少しだけ濁しながらも理由を話す。
「いや、えっと、あのね。偶然見つけてしまって、少し動揺してしまったというか……
それで見つけた途端に環くんが来て、びっくりして隠してしまって……
物が物だし、言い出しづらくて……」
「へーなんだ。そーちゃんこれ見てこーふんしてんのかと思った」
「いやっ！？ 他人の部屋にあるもので、そんな事絶対ないから！」
環くんの素直過ぎる発言に驚かせられて自分のペースが乱れていくばかりだ……
「てか俺こーいうの、どこがいいのかあんま分かんねー……なんかグろい……女とかもそんな可愛くねーし」
ペラペラと本をめくりながら、はて……という顔でそう言う環くん。
すると環くんは、急に僕の顔と本の中身を交互に見始めた。
「な、何か変かな……？」
「んーー、なんかそーちゃんの方がほっそいし色白いし、女子より女子みてーだなって思った」
見比べてたんだ……。
「えっ そ、そうかな……」
褒め言葉なんだろうけど、あまり嬉しくはないかな……。一応僕も男だしなぁと、自分の身体を見渡してみる。
僕みたいな薄っぺらい体に女性のような柔らかみは無いし、それとはまた違うかなあ……と真面目に考えたりもした。
「うーん……でも僕はやっぱり男だから、その人達の方がやっぱり女性らしいと思うよ」
「そ？ まーそっか。んじゃあ、女々しい？ って感じ？」
「環くんが何を言おうが僕は男だからね。とりあえずこの話はお終いにしようか」
お掃除と本 4 おわり(長くてすみません汗)→←お掃除と本 2
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作者名：梅傘 | 作成日時：2018年8月18日 0時
