【募集企画】あるマスターの日常 -第二幕-【派生作品】

□98話　視点:橘 樹 ページ49

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　まさかあんなひょんなきっかけから自室が秒で消えるなんて思ってなかったけど。

やっぱりあれだな、サーヴァントっていろんな意味で規格外なんだな。



「今度から、俺ももう少し気をつけよ」


ことの次第を終えて、エミヤに仲良くお説教をくらった後、いつもの日課である鍛錬に向かった。

いつもより集中できなかったけどそれはもう今日ばかりは許してほしい。


浴場に向かい、日々の楽しみにしている日替わり風呂はなにかと半ば鼻歌交じりに脱衣所に入れば、一人分の荷物を目にする。



「ん？誰か入ってるのか」


タオルを手にし、日替わり風呂へと向かえば今日は柚子風呂のようで小さな柚子がたくさん浮かぶお風呂で癒されている男性に小さく笑みがでてしまう。


「所長じゃん。笑」

「あれ、樹くん？！顔、ゆるみまくってたのみられちゃったな」


「そんなに柚子風呂気に入ったの？これ本当は冬至の時期に日本ではやる習わしなんだけどさ」

「そうだったのか。うん、なかなか香りがいいというか…ってそうじゃなくて、本当に今晩は部屋を準備しなくて大丈夫？」


「うん。俺も本当は部屋準備してもらおうと思ってたんだけど、それはそれでアルトリアが気を遣うかなって。もちろん、ギルは霊体化させる予定だけど。」

「なるほど。うん、そういうことなら了解した。明日以降はどうする？」



「そうだな。ああ、そうだ。ギルになんとかさせるよ。あいつなんやかんやすごい奴だし、一応王様だし。部屋ひとつどうにかするくらいできると思うから。迷惑かけてごめん」


小さく笑ってみせれば、わしゃわしゃと頭を撫でられる感覚に思わず甘えてしまう。

なんだろう、所長の手のこのぬくもりってやっぱり、兄貴にどこか似てるというか。


「とりあえずそんな感じで。あんまり部屋いくと遅くなるとルイスにも迷惑かかるし、そろそろ行くね」


笑顔で見送られ、浴場を後にすれば続いて巡りあったのが椿。

廊下でかち会えば、慌てた様子でやってくるあたり、たぶん話しはもう出回ってるのだろう。


まあ、まがりなりにも屋内で宝具放ったわけだしな？



「樹！！聞いたよ、大丈夫？！」

「ん。特に問題なし」


「部屋どうするの？うちくる？モーさんが朝までトランプとかボードゲームやろって」

「まさかの朝までコースかよ…でもパス。今日はルイスの部屋に泊るからさ」

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