■92話 視点:アルトリア・ペンドラゴン ページ43
.
イツキから彼の兄君との米国とのお話を伺ったのですが、あまりにも突拍子もない言葉に理解できないまま賢王の爆笑によりその話は流れてしまった。
だがそれよりも。
「イツキ、それは食べてもよろしいのでしょうか?」
思わず口から垂れそうになるもの耐えつつ、イツキに問う。
もちろん視線の先はカートに山のように積まれているたい焼きの数々。
見た目の色合いが少し違うものがあるので中身が色々とあるのでしょう。
私の直感はAランク相当、これは確定でもあります。
「あぁ。この前の部屋の片付けの件のお礼だから、遠慮なくアルトリアとルイスが食べてくれていいぜ。エミヤと一緒に作ったんだけどちょっと作りすぎた感があるから残してくれても」
「いえ、全部いただきます」
なるほど、彼が立ち会っていたのならこの量の多さも頷ける。
マスターが試しにと一口食べたのを皮切りに私も手近にあったその茶色い魚に模した焼き菓子、たい焼きを一つ手に取り食べた。
「!」
「アルトリア?」
「ど、どうした? 何か食べられないものでもあったのか?」
口に入れた瞬間、ふわっとした弾力。
噛み千切れば中に隠されていた餡子のほのかに広がる上品な甘味。
「美味しい…!」
ズコっと体勢が崩れたマスターとイツキの姿と賢王の含んだ笑みが視界に入ったが今はこのたい焼きを味わいつくしたい。
「ふわっとしているうえにこのもちもちした弾力のある皮、その中にあるつぶつぶとした餡子の上品でいて優しさのある甘味。イツキ、貴方の料理の腕は一流です。あのアーチャーにも引けも劣らないもの。この私、アルトリア・ペンドラゴンが保証いたします」
「あ、ありがとう?」
餡子や白餡、カスタード、チョコレート、抹茶味、チーズやキャラメル、変り種のお好み焼きもあり、視界の端でマスターとイツキが話しているのを見えたが今はこのたい焼きを食べることに専念したい、実に充実した八つ時だった。
だが最後の一つを取ろうとしたところ、目の前からそのたい焼きが消えてしまった。
「あ…」
突然たい焼きが消えるなんてことはこの日常ではありえないことである。
周囲を見渡せばにやにやとした笑みで私を見ている賢王が。
「セイバーのランサーよ、これがほしいのだろう?」
「返しなさい賢王、それは私がずっと目を付けていたたい焼きです」
賢王の手の中にあるたい焼きを取り返そうと挑むが身長差のため届かない。
■93話 視点:アルトリア・ペンドラゴン→←□91話 視点:ギルガメッシュ(キャスター)
23人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玲乃音(プロフ) - アルトリアとエミヤとのたい焼き話しが凄く気になります!! 続き頑張って下さい (2019年11月7日 8時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - 細波幸近さん» コメントありがとうございます。是非、妄想していただいて楽しんでいただければと思います! (2019年10月22日 12時) (レス) id: ab18fde111 (このIDを非表示/違反報告)
細波幸近(プロフ) - なかなか面白い展開ですね!ここでうちの子に見せたら面白そうとか妄想しちゃいますね (2019年10月22日 12時) (レス) id: a768fd0174 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - 玲乃音さん» コメントありがとうございます。ルイスくんだからこそ一緒に入るのが許されたのではないかと思います。更新頑張りますね。 (2019年10月19日 22時) (レス) id: ab18fde111 (このIDを非表示/違反報告)
玲乃音(プロフ) - ウワワ〜〜!!ルイスとギル様!! 二人のお風呂シーン!! 楽しそうだなぁ……ギル様と風呂仲間になりたいなぁ (2019年10月19日 20時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翔べないペンギン/湊 | 作者ホームページ:なし。
作成日時:2019年10月9日 13時