□81話 視点:エルキ ドゥ ページ32
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無機質な部屋へ到着すれば、ここが今日から僕らの拠点となるらしい。僕は構わないけれど、マスターはこれで不便しないのだろうか。
「マスター?」
「なんだよ、エルキドゥ」
「これで不便はしないのかぃ?」
「…誰に言ってるんだよ」
と、年齢にそぐういたずらっぽい笑顔を浮かべれば、
忘れていたけれど、僕のマスターは魔術師としては有能だった。
そう、魔術師としてはね。
「今、失礼なこと考えただろ」
「いいや、なにも」
にこりと笑ってみせれば、ぼふっという音ともに最後に現れたのはもう1セットの寝台。
「マスター?」
「せっかく準備したのに使わなかったら勿体無いだろ…」
と、そっぽをむけば耳まで朱に染まるマスター。
そう、彼はしっかりとやさしさを持つ子なのだ。
ただ、教育は必要だけどね。
「ありがとう」と礼を伝えれば先程の"彼"の魔力の接近を感知する。
「なににやにやしてるんだよ」
と、問われれば扉に視線を向け、これがまたタイミングを図ったかように鳴る死の4度のノック音。
「先生かな?」
まさか…。これは君の良いトレーニング材料となる魔力だよ。
マスターは魔力の識別はイマイチと。
「どうぞ」と声をかけ、ノブに手をかけるマスターの背を見送れば口元が緩む。
さあ、今日何度目かの断末魔が響くまで3、2…1…
「ぎゃああくるなあぁあ!!」
あまりに予想通りの反応に笑うのを手で押さえこらえていれば、僕の背後に隠れ裾を握るマスター。
不意に後ろのギルの…いや、セイバーに「少しは止めてください」と視線で訴えかけられる。
こんな面白いこと、やめられるわけないでしょう?という意味を込めた不敵な笑みを浮かべれば、表情を曇らせる…なるほど、そういうところがギルのせいへ…(自主規制音)
それはともかく、彼のアタックがいつもより慎ましいのは何故だろうか。
君はこんなものではないだろう?
腕を組み、彼の動きを見ていればどうやらマスターの姉君から預かりものがあるだとか。
だから、いつもより動きが遅かったのか。
ほら、ギル。やはり、彼は変態だとしても阿呆ではないようだよ。
手に持っているものの魔力反応を見るあたり、あれは魔術礼装。
壊したりしないよう感情の自制が効いているということだ。
だけど、それを渡してしまったら、彼はどうなってしまうのだろうね?
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玲乃音(プロフ) - アルトリアとエミヤとのたい焼き話しが凄く気になります!! 続き頑張って下さい (2019年11月7日 8時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - 細波幸近さん» コメントありがとうございます。是非、妄想していただいて楽しんでいただければと思います! (2019年10月22日 12時) (レス) id: ab18fde111 (このIDを非表示/違反報告)
細波幸近(プロフ) - なかなか面白い展開ですね!ここでうちの子に見せたら面白そうとか妄想しちゃいますね (2019年10月22日 12時) (レス) id: a768fd0174 (このIDを非表示/違反報告)
湊(プロフ) - 玲乃音さん» コメントありがとうございます。ルイスくんだからこそ一緒に入るのが許されたのではないかと思います。更新頑張りますね。 (2019年10月19日 22時) (レス) id: ab18fde111 (このIDを非表示/違反報告)
玲乃音(プロフ) - ウワワ〜〜!!ルイスとギル様!! 二人のお風呂シーン!! 楽しそうだなぁ……ギル様と風呂仲間になりたいなぁ (2019年10月19日 20時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翔べないペンギン/湊 | 作者ホームページ:なし。
作成日時:2019年10月9日 13時