Valentine.

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泣きそうになるのを堪えて、首を横に振る。




ふふっと笑いながら私を抱きしめて、泣いてる子供を宥めるように背中を優しく撫でてくれる大きな手。









「 好き、です…っ 」



『 …俺と、付き合ってください。』









もう、いっぱいいっぱいで、返事の代わりに片寄くんの背中に手を回して、ギュッと力を込める。









『 …よかった 』



「 片寄くん…ごめんなさい… 」



『 ううん。涼太。』



「 …涼太、」



『 んふふ。のの。』









“のの”




もう姫って呼んでくれないのかな、ってちょっとだけ名残惜しかったけど、ののなんて、涼太しか言わないな、って思ったらすごく嬉しかった。









『 これからは、のののこと迎えに行くね。もう怖くならないように。』



「 …ううん。ののが行く。」



『 …え？ 』



「 、いいから 」



『 …うん？ 』









もうこれ以上、涼太が女の子と仲良くなるのは嫌だから、なんて言ったら涼太はなんて言うかな。





…秘密にしとこ。






こんな私、私じゃないみたいでくすぐったい。









「 …ののが姫なら涼太は王子様だね 」



『 えぇ〜なんか照れるなぁ笑 』









これが、私と、私の王子様のお話。









-END-

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