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翔
夜
あー、最近夜に抜け出し癖がついちゃったなぁ。なんて自虐ぎみに笑う。
外の夜風を感じながら、家から少し足を伸ばしたところの高台のある公園へと向かった。
ご機嫌に鼻歌なんて歌ったりして、人が見たらまさに浮き足立つとはこのことだと言っていただろう。
公園につくと、ゆっくりと心の扉を開けて中の力を解放していく。
前までは周りにドロリと漏れ出すだけだった黒は、力となって体を巡り作り替えて行く。
時間がかかるかと思ったが案外あっさりと終わったらしい。自分では何が起こったのか分からないほどだった。
ただ、五感の全てが一瞬にして変わった。
今まで聞こえなかった音が、見えなかったモノが鮮明に見える。
これが皆が見ていた風景…!
喜びに胸が震えた。
飽きることなくいつまでもあたりの景色を見ていられる気がした。
ふと視界に己の右手が映る。
あれ…?俺の爪こんな伸びてたっけ?
普段は切りすぎくらいまで深爪にしてしまうのにかなり長くなっている。心なしか尖ってるような…。
ハッと気づいた俺は慌てて公園のトイレへと駆け込む。蛍光灯に照らされた鏡に映る俺の額の右側から大きな角が一本生えていた。こちらを驚いたように見つめる目は黒目の部分が赤く変わっていた。
恐る恐る口を開けると犬歯が少し伸びて尖っている。
あぁどうして失念していたんだろうか。
鬼と言えば角も、牙も、爪も人と違って当たり前じゃないか。
結局俺は所詮「返りそこない」なのだ。
兄弟と違って霊能力者に返りそこなったのだ。
しかも人であることすら辞めてしまった。
そんな自分を静かに嗤う。
どうして上手くいかないんだろうか。この姿はどう見ても霊能力者の敵である。
兄弟達もまさか自分の家族が祓う対象になったなんて思いもしないだろう。
大好きな家族と同じものを見たくて、共に生きていたくて、ただそれだけだったのに。
暫く茫然自失で変わってしまった己の姿を見つめていた。
どれくらいそうしていただろうか、そこで俺は鏡に自分の姿が映っているということを改めて認識した。
これ普通の人にも見えてるのではないだろうか。誰か来たらまずいと慌ててトイレの個室に入った。
どうしよう、どうしよう。
頭を捻っていると今日の夕方のことを思い出す。
そういえばあの時扉をしっかりと閉じたら何とかなったな…。
体を巡る力を中心に集め閉じる。
あっという間に角も牙も爪も消えた。
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とうこ(プロフ) - いつも楽しく拝読させて頂いています！4か、5か…の間？のような感じで、4人でSさんの力を小さくし、小鬼？くらいの能力に抑えながら、永く同じ時間を過ごしていく…みたいな感じもどうかな？と思いました。どんな結末になるか楽しみにしています！ (2021年12月19日 19時) (
レス) @page49 id: d6b414cbbc (このIDを非表示/違反報告)
花序(プロフ) - はじめまして。いつもひっそり楽しく読ませていただいております！わたしは5を希望します。先に寿命を迎える事は悲しい事ですが翔くんの心が4人によって浄化されたらいいなと思います。そしていつかまた何らかのカタチで再会できたら幸せですね。 (2021年12月18日 20時) (レス) @page49 id: 9d25e37658 (このIDを非表示/違反報告)
まさきっち - 私は4を希望します (2021年12月16日 12時) (レス) @page49 id: 61f762c73c (このIDを非表示/違反報告)
翠奈 - ４です。でも、いつかまたあおうねってかんじでおわかれがいいです。できれば、１年後とかに４人の能カも消えて、翔くんもふつうになって５人でくらすっていうかんじがいいです。色々すみません！！ (2021年12月15日 18時) (レス) @page49 id: 87c0cb4545 (このIDを非表示/違反報告)
夏音(プロフ) - 4 なのですが、数十年後に4人の前に生まれ変わった幼い翔くんと出逢い5人で暮らすとか。ほんのりアンハッピーじゃなくなるといいなぁ。 (2021年12月15日 18時) (レス) @page49 id: 4a8a281850 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽方向 | 作成日時：2021年11月1日 11時
