神様のお導き ページ40
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さてと、今日もよく寝た。
肌の調子がここの所良いのは何のせいだろう。
メイクのノリが最高なんだけど。
昨日下ごしらえしたハンバーグに火を通し、お弁当箱に詰め込んでいってきまーす。
ドアを開けると隣でもガチャガチャいってる。
「あ、おはようございます。Aさん。」
「おはよう、ギョンスくん。」
同時刻にこうして、別に示し合わせたわけじゃないのに出勤だなんて、まさか神様のイタズラじゃないでしょうね。
肩を並べてエレベーターに乗り込み、マンションの前で別方向へと歩き出す…彼の足を私は止めた。
「ね、ねぇ!」
「はい?」
いや、深い意味は無いですからね。
本当に、昨日たまたまそうなってしまっただけで…偶然の産物ですから。
不思議そうな顔をこちらへ向けて、朝のラッシュを少しでも回避しようと早くしろと促す彼に私が放ったのは、昨日までだったら考えもしなかった言葉だった。
「あのさ。ギョンスくんっていつもお昼何食べてるの?」
急いでるのにこんな質問、かなり空気読んで無いと思うよ自分でも。
「……社食か、コンビニか、会社の前に来てるケータリングとか、ですけど。」
それでも律儀に答えてくれるんだから、実のところベッキョンが言うような人じゃないんじゃないだろうか。
「そっか。へー。」
「え?何ですか?」
私だって急いでる事に変わりはない。
勇気を振り絞るタイミングが今なんだって、よく分からない決意で深呼吸して…。
「実は、ね。その…実はお弁当作ったんだけど。」
「はあ。」
「昨日ちょっと作りすぎちゃって、ハンバーグをさ。
だから、ギョンスくんの分もある…って言ったらどうする?」
我ながらまどろっこしい言い方だな!
ってゆーか迷惑かもって断られる選択肢を忘れてた!バカだ!私!
「あ、嫌なら、別に無理にとは言わないです、けども…」
自信のなさの表れか、段々尻すぼみになって消えていく私の言葉たちよ。
やっぱ言わなきゃ良かったかなぁ…
恐る恐るギョンスくんのリアクションを待ち構えていたのだけど、
そんなの杞憂にすぎなかったらしい。
「い、いいんですか?本当に?」
大層目をキラキラ輝かせた彼の表情が、目の前にはあった。
「う、うん。もちろん。」
「うわぁ…ありがとうございます!」
「え?あ、どうぞ。」
お弁当を受け取ったギョンスくんは、去り際に元気よく「行ってきます!」って私に向かって投げかけた。
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ちー(プロフ) - とっっっっってもかわいいな、先生 (2018年8月4日 21時) (レス) id: b30b6d91a4 (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - ギョンちゃんのツンデレ、可愛すぎます。ミンソクさんに美味しいなんていわれたらキュンです\(//∇//)\お話とっても楽しみにしています(o^^o) (2018年8月4日 21時) (レス) id: 9358b5978b (このIDを非表示/違反報告)
のんたま(プロフ) - このお話の、ギョンスのツンデレ具合が大好きです。更新楽しみにしてます。 (2018年8月3日 19時) (レス) id: b89da2edc7 (このIDを非表示/違反報告)
千尋 - わ!もしかして主人公ちゃんとギョンスが好きな映画「かもめ食堂」ですか〜?恋はスマホでとっても面白いです!更新楽しみにしています! (2018年8月3日 14時) (レス) id: 8337028c26 (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます!ワクワクニヤニヤ楽しませていただいています!『美味しい』って言葉は本当に嬉しい言葉ですよね。主人公ちゃんの気持ちにめっちゃ共感しちゃいました! (2018年5月17日 5時) (レス) id: fd6488e944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2018年3月13日 21時