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仕事がはかどらないくらい憂鬱なのは天気のせい、とか言ってみたり。
一向に止む気配がない窓の外を眺めながら、時計の秒針に耳をすませる。
グーグー鳴ってる腹の虫には気付かないフリをして、パソコンの画面と再び向かい合った。
なんだか分からないけど、全くやる気が出ないよ今日は。
はぁ…一体何度目のため息なんだろう。
息を吐いた瞬間、ミンソクが"うるさい"とピシャリ。
仕方ないじゃん。どうにも身が入らないんだもの。
そんなダラダラな雰囲気の中キーボードを形だけでもカタカタ。
そうとうお腹が空いていたのか、キリキリと胃が痛み始めた頃。
お昼休みを報せるチャイムが鳴り響いた。
待ってました!
やっと空腹とさよならさ〜♪
作成途中のデータを上書きして、っと。
「やっと昼メシだー。」
彼もまた待ちかねていたらしい。
「A今日どうする?土砂降りだし社食でも行くか?」
背後からミンソクからのお誘い。
女子社員に羨望の眼差し向けられるからあんまり歓迎はしてないけど、日常になりつつあるから今では慣れっこ。
でも今日は断るよ。だってお弁当あるもんね。
「ごめん、私今日お弁当なんだ。」
「弁当?いつコンビニ行ったんだよ。」
「コンビニじゃありませんし〜。」
これ見よがしにデスクの上に手作り弁当を置いてドヤ顔。
「どうしたんだよそれ。とうとう家政婦でも雇ったか?」
「失礼な。作ったに決まってんでしょ。」
「誰が?」
「私が。」
「私?」
「そう、私。この、わ・た・し。」
ん〜、、、何と浅はかでしょう。
すっかり忘れてたよね。
「Aが作った!?」
ミンソクの驚いた表情を見るまで気づかなかったわ。
内緒にしてたんじゃん!!!
「は…!いや、違う。そう、家政婦、家政婦さんに作ってもらったんだった!」
「家政婦なんて冗談に決まってんだろ。バカか。」
「バカ!?バカって言った方がバカなんです〜!」
「うるせーな。そんなの今どうでもいいだろ。」
我ながら幼稚な返しですこと。
逸らせるかと思ったけど当然全く通用せず。
ミンソクは何とも形容しがたい表情をう浮かべながら、さっさと弁当の蓋を開けろと無言の圧力。
お弁当なんて作ってくるんじゃなかった……
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ちー(プロフ) - とっっっっってもかわいいな、先生 (2018年8月4日 21時) (レス) id: b30b6d91a4 (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - ギョンちゃんのツンデレ、可愛すぎます。ミンソクさんに美味しいなんていわれたらキュンです\(//∇//)\お話とっても楽しみにしています(o^^o) (2018年8月4日 21時) (レス) id: 9358b5978b (このIDを非表示/違反報告)
のんたま(プロフ) - このお話の、ギョンスのツンデレ具合が大好きです。更新楽しみにしてます。 (2018年8月3日 19時) (レス) id: b89da2edc7 (このIDを非表示/違反報告)
千尋 - わ!もしかして主人公ちゃんとギョンスが好きな映画「かもめ食堂」ですか〜?恋はスマホでとっても面白いです!更新楽しみにしています! (2018年8月3日 14時) (レス) id: 8337028c26 (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます!ワクワクニヤニヤ楽しませていただいています!『美味しい』って言葉は本当に嬉しい言葉ですよね。主人公ちゃんの気持ちにめっちゃ共感しちゃいました! (2018年5月17日 5時) (レス) id: fd6488e944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2018年3月13日 21時