人生の転換期 ページ2
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仕事に追われる毎日。
もちろん彼氏もいないのだから、結婚の"け"の字も私には全く縁のないもの。
カタカタとキーボードを鳴らせば、自分が仕事のできる人間なんじゃないかと錯覚するけど
…実際は人並み。
今の家に越してきてから3年とちょっと。
帰宅してドアを開けても一度もおかえりなんて聞いたことはない。
虚しさを感じざるを得ない日々の中で唯一のストレスの捌け口は、同期のミンソクと呑んだくれてる時間だけだった。
春は人生の転換期。
進学、就職、新しいことを始めるにはもってこいの季節。
私はこのまま仕事して、誰もいない家に帰り、話す相手もいない空間で
独身のまま一生を終えるのではないかと急に不安に襲われた。
お昼休み、、
ミンソクは私と違ってチヤホヤされて、それなりに友達も多い。
そんな交友関係が新たな出会いを齎しても深入りできないのは、何だかんだで面倒くさいと言うのが一番の理由だったりする。
別にそれほど困ってはいない。無駄遣いもしなければそこそこのお給料でも自分1人くらいは十分生きていけるのだから。
でも私は違ったのだ。
無駄遣いのオンパレード。
こと食に関しては財布の紐が緩みっぱなし。
社会人になってから、優雅な女の独身ライフに少しの憧れこそ抱いていたけれど
私にはどうも不可能なようだと悟った。
「外食ばっかりしてねーで、1人で食うものくらい自分で作ればいいじゃん。」
「私が家事不得手だと知っての発言かね?」
「やんないから出来ないだけ。
結局何でもかんでもメンドクセーっつって最初から諦めるからだろ。Aの場合は。」
そうとも言う……
「ミンソクだっていっっつもコンビニ弁当か社食じゃん。」
「俺とお前を一緒にすんなよ。」
「そうだったね。その気になったらミンソクなんていつでも誰かの手作り弁当食べられそうだもんね。」
コソコソしてても気づいてるからね。
バレンタインデーには大量のチョコを持ち帰ってることくらい。
「中身はおっさんなのに何でかなー??」
「中身がおっさんなのはお前の方だろ。」
「こりゃ失敬。」
「あ!最後の一つ!」
パクっと口に放り込んだ唐揚げは、私が作ったのより美味しい。
「お前なー…」
訂正。
唐揚げとられてショボくれてるミンソクは、
おっさんじゃなくて子供だ。
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ちー(プロフ) - とっっっっってもかわいいな、先生 (2018年8月4日 21時) (レス) id: b30b6d91a4 (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - ギョンちゃんのツンデレ、可愛すぎます。ミンソクさんに美味しいなんていわれたらキュンです\(//∇//)\お話とっても楽しみにしています(o^^o) (2018年8月4日 21時) (レス) id: 9358b5978b (このIDを非表示/違反報告)
のんたま(プロフ) - このお話の、ギョンスのツンデレ具合が大好きです。更新楽しみにしてます。 (2018年8月3日 19時) (レス) id: b89da2edc7 (このIDを非表示/違反報告)
千尋 - わ!もしかして主人公ちゃんとギョンスが好きな映画「かもめ食堂」ですか〜?恋はスマホでとっても面白いです!更新楽しみにしています! (2018年8月3日 14時) (レス) id: 8337028c26 (このIDを非表示/違反報告)
あまいくりーむ(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます!ワクワクニヤニヤ楽しませていただいています!『美味しい』って言葉は本当に嬉しい言葉ですよね。主人公ちゃんの気持ちにめっちゃ共感しちゃいました! (2018年5月17日 5時) (レス) id: fd6488e944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2018年3月13日 21時