7話 ページ7
まふまふside
明日、僕も家に女の子が来る。
あ、誘拐って訳じゃないからね!?
その子の親がいなくなってから、親戚が集まって誰が引き取るか話し合ったんだ。
周りの人たちは血が繋がっているのに、厄介者を扱うように
「貴方が引き取りなさい」
ってすり付けあっている。
一番悲しんで、苦しんでいている、しかも中学生の子の話を聞いていると、どうしても昔の僕に重ねてしまう。
話したことはないけれど、絶対にこの人たちには引き取ってほしくなくて
「僕が引き取ります。」
なんてかなりの声の大きさで言った。
そしたら声のトーンが上がって
「頼みます」
なんて言うから、ムカついてしまった。
そしてお葬式の日には可哀想、なんて言葉が聞こえてくる。
その子は泣きそうで、でも泣かなくて、でもどれだけ辛い思いをしているかが見てわかった。
帰りに挨拶だけしようと声をかけると、突然のことにびっくりしたのか、固まってしまった。
出来るだけ怖がられないようにその子の前にいって少し屈んで、
「こんにちは。僕は相川真冬といいます。僕は君の新しい家族です。これからよろしくお願いします。」
というと、小さくて、頑張って絞り出したような声で、
『A、A、です、よろしく、お願いします…』
って返ってきた。
それからもう一回
「よろしくね。」
っと言ってそこで別れた。
僕はliveだって作業だって忙しいし、一人暮らしで一緒にいられる時間は少なくなると思うけれど、絶対にあの人達の中で一番幸せに出来る自信がある。
僕が幸せにしないと、他に誰がするんだ!
って自分を奮い立たせて、家に来るのは明日だから気合い十分だった。
それに、僕は一人じゃない。さかたんは看護師だし、そらるさんだって天月くんだって、他にも頼れる人がいるから大丈夫だと思う。
明日のためにもうごはん食べて、お風呂に入って寝よう。
明日からまた頑張るんだ。
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作者名:風-ふう- | 作者ホームページ:
作成日時:2020年5月7日 9時