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"ぐーきゅるるるるる"
あ。
俺、腹減ってたんだった。忘れてた。
いい加減、俺に気付け!!とでも言うかのように俺の腹の虫が限界を知らせた。早く何かを与えてやらねば。
「ふふふっ…タイミング最高だね」
本当に最高なタイミングで鳴ったお腹に笑っている櫻井翔くん。
「お礼がてら何処か食べに行こうよ、どうかな?」
『もちろん!』
これまた久しぶりの人との食事だ。
_________砂浜を抜け、櫻井翔くんの先導で少し街中に入った。櫻井翔くんは勝手知ったる様子でどんどん先を行き、俺が少し遅れたなと思えばペースを合わせてくれた。どうやら気遣いの上手い優しい人みたいだ。
「ここだよ」
そう言ってたどり着いたのは小さな中華料理屋さん。
まだ朝早いからか、人が入っている様子はない。むしろ、今営業してるのかどうかも怪しく、今入っていっていいのか不安になってきた。
だが、櫻井翔くんはそんなのお構いなしに入って行く。
俺もそれに倣って大丈夫と言い聞かせつつ、店に入った。
「こんちはー」
「あーごめんなさいまだ営業………って翔ちゃんじゃーん、おはよー!」
やはりまだ営業はしてなかったみたいだ。だけど何やら店主らしき好青年と櫻井翔くんが知り合いの様子。
と、その好青年が俺の存在に気づいた。
「あれ?この人は?」
「あーさっき、海で会ったんだ」
「うみ?」
『海』という言葉を初めて聞かされた子供みたいな純粋な目をしていた彼。俺と目が合うと野生的な何かを感じ取ったかのように、背筋を軽く正した。
「相葉雅紀です。ここの店主やってます、よろしく」
『俺は、大野智って言います』
名刺交換でもするような挨拶を交わして僕らは握手した。なんだか不思議な感覚だった。櫻井翔くんの手を取った時とはまるで違う。彼の手は太陽のように温かくて、手にまで彼の優しさが滲み出ているかのようだった。
「大野さん、何食べる?」
櫻井翔くんが聞いてきた。
店内をぐるりと見回すと壁に沢山の料理名が並んでおり、メインメニューからサイドメニューまで選びたい放題だった。
『じゃあ、餃子と炒飯で』
オーソドックスかな、と思うものを注文。
櫻井翔くんは通い詰めた様子で、
「じゃあ俺はいつもので」
「はーい、好きだねーそれ」
それぞれの注文を聞いて相葉雅紀くんは厨房の方へ消えていった。
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フレンチ糖スト(プロフ) - 9646にゃあさん» ありがとうございます! (2021年10月14日 19時) (レス) id: ff01346260 (このIDを非表示/違反報告)
9646にゃあ - 面白かったです。 (2021年10月13日 19時) (レス) @page2 id: c1da48766a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フレンチ糖スト | 作成日時:2021年1月7日 1時