そんな自分とは、さらばしたいから。 ページ39
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「…やっと、言うてくれたなあ、A」
震えた声。
ハルが嬉しそうな顔をして、必死に唇を噛んで泣いていた。
「うちな、A。友達作り、苦手やったんや。そんな中、あんたが話しかけてくれて。ただ、嬉しかった…!あんたのこと、大好きやねん、うち。どんなにうちが変なことを言うても、間違えても正してくれる。
あんたがいるから、うちは笑える。
うちの悪口を言う人を、あんたが咎めてくれたこと。あんたが、いつでもうちの傍におってくれたこと。
そんなに、あんたは色々考えとったのに、うちは楽観的にしか捉えられんかったこと。
あんたが、結局は、うちと友達になりたいと思うてくれたこと…!
色々思うことはある。でも!
うちはただ、Aと友達でいられればそれでええ!
うちはAと友達になりたい!それだけで、それだけでええねん!あんたがおれば、うちは最高の自分になれる…!
あんたが、助けてくれるから…!あんたが、笑ってくれるから…!やから、うちは!
Aのことが大好きで、めっちゃ大好きやから…!
せやからな、A。うちはあんたの友達でいられれば、それで、それだけで充分なんやで…?」
震えた声。
ハルの目は、何かに耐えるように私のことを見据えている。
でも、それでも流れ出ている涙が。
儚くて、散りそうで。
自然と手を伸ばしていた。
ハルの頬に、手を添える。
ねえ、いつから間違えたのかな、私たちは。でも、この間違いですら間違いでなくなる日がくるとしたら。
その日を、あんたと、真友として迎えたい。
「ごめん、ごめん…!ハル、ごめん!私…自分ばっかりが辛いと思って、あんたのこと嫌ってた…!でも違う!
私、ハルのことが、大好き、だから…!」
信じられないかな。でも、でもね。
いつでも、A、って名前を呼んでくれるハルの声が。
笑顔が。
どこか、私を安心させるんだ。
「うん、うちも…あんたのことが、大好きや」
噛み締めるように、涙を流そう。それくらいしか、私には出来ないから。
ねえ、ハル。
「…ハル」
「A」
名前を呼び合おう。
「私と真友に、本当の、真の友達に、なってくれませんか…?」
――告白するように。
「おん、当たり前やろ…?」
ニヒルに笑う君に、一生分の友情を。
狐の嫁入りが行われた日。
見事な天気雨が、教室の外の世界を支配していた。
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はるか(プロフ) - この作品のことではないんですがブスの愛で方はもう公開されないんでしょうか? (2023年2月25日 13時) (レス) id: aa3e2fb3e0 (このIDを非表示/違反報告)
サラミ - なんかもう…本当に胸が痛かったです…なんでそんなに感動する文章かけるの…?という感じでした。辛いし、気持ちが凄くわかるし、頭がうああってなって(語彙力)気づいたら大号泣していました。本当に素敵なお話をありがとうございました。 (2023年1月18日 22時) (レス) @page50 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 北さんもいい……! めちゃくちゃにやけました! (2022年10月23日 0時) (レス) @page50 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
お布団 - 何回ワシをにやけさせんねん!! (2021年11月28日 10時) (レス) @page50 id: e77bb3532f (このIDを非表示/違反報告)
リンネ(プロフ) - 私、恋愛をした事なくて恋愛小説をどこか違う世界のものとして読んでました。でもこの小説は、感情移入してしまって雨宮の「自分が嫌い」という感情が私と重なって泣いてしまいました。あなたの言葉で救われた気がします。ありがとうございます。 (2021年7月5日 2時) (レス) id: 2b6f27f6e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お水。 | 作成日時:2019年8月16日 11時