信じろ。 ページ36
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"…自分がしてきたこと、信じればええねん。"
HRが終わって、北先輩が教室に来た。すんなりと、容易く言ってのけた北先輩に、何だか酷く劣等感を感じて。
それでも、不安だった心にそっと手を添え、安心感を与えてくれた北先輩に、なんだか何とも言えない感情を抱いたのを覚えている。
侑と銀島が、私の肩に手を置いて教室を出ていった。吹部の友達が、私の頭を撫でて下校していった。治が、笑って廊下から手を振っていた。
角名くんが、全く連絡をとっていなかったメッセアプリで、『大丈夫、応援してる』と送ってくれた。
それが全部、全部。私の声を創り出す。
…北先輩、今だけでも良い。私のヒーロー。背中を、押して。
｢…私ね、最初、ハルに話しかけようとしたのは偶然だったんだ。ハルだけ一人で、ポツンと下を向いていたから。なんとなく、本当に偶然気になって、話しかけた。上手く友達やってれば良いかなくらいに思ってたんだよ。
友達なんてそんなもんだし、親友と呼べる人はちゃんと居たから。
でも。
段々、ハルの良いところも悪いところも見えてきた。
ハルは自分に疎くて、周りに対しては鋭くて。そのくせ自分への好意は気付かずに、モテるって言えばそんなことない、ってすぐ否定して。
…少しだけ羨ましかった。別にモテたい訳じゃない。でも、愛されてるあんたが羨ましくなってきてしまった。
そのうち、色んな人に恋愛相談なんてされるようになって。まあ、ハルと一緒にいたからなんだけど。
なんで気付いてあげないの？なんで鈍感なの？鈍感ぶってるの？
とか、色々思っちゃってさ。
ハルは可愛いし、性格も良いから。私は可愛い訳じゃないし、性格もどっちかっていうと悪い方だと思ってるから…劣等感だよ、簡単に言えば。角名くんですら簡単に惚れさせてしまったハルへの、醜い劣等感。
友達と自分を比べて落ち込む、なんてよくあることだけど、私は、その頻度がえげつなかっただけに思える｣
常に比べていた。自分と、ハルの違いを。
決定的な違いが何個も出て来ては、少し、いや、かなりハルを妬んだ。
終いには角名くんでさえ、あの少し冷めた感じが拭えない角名くんでさえ、ハルに惚れてしまった。
勿論、どうしてハルはこんなに愛されているのに気付いてあげないんだ、って感情もあった。
でも。
それよりも自分が劣っているが故の劣等感が、嫉妬の念を醜く強くさせた。
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はるか(プロフ) - この作品のことではないんですがブスの愛で方はもう公開されないんでしょうか？ (2023年2月25日 13時) (
レス) id: aa3e2fb3e0 (このIDを非表示/違反報告)
サラミ - なんかもう…本当に胸が痛かったです…なんでそんなに感動する文章かけるの…？という感じでした。辛いし、気持ちが凄くわかるし、頭がうああってなって(語彙力)気づいたら大号泣していました。本当に素敵なお話をありがとうございました。 (2023年1月18日 22時) (レス) @page50 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 北さんもいい……！ めちゃくちゃにやけました！ (2022年10月23日 0時) (レス) @page50 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
お布団 - 何回ワシをにやけさせんねん！！ (2021年11月28日 10時) (レス) @page50 id: e77bb3532f (このIDを非表示/違反報告)
リンネ(プロフ) - 私、恋愛をした事なくて恋愛小説をどこか違う世界のものとして読んでました。でもこの小説は、感情移入してしまって雨宮の｢自分が嫌い｣という感情が私と重なって泣いてしまいました。あなたの言葉で救われた気がします。ありがとうございます。 (2021年7月5日 2時) (レス) id: 2b6f27f6e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お水。
| 作成日時：2019年8月16日 11時
