きっと何も。 ページ28
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翌日。
｢…おはようさん、A｣
まさかハルから声をかけられるとは思ってなかった。朝、教室に来て席に座れば、ハルがすぐに私の元へ来たから。
…ハルも、何かあったのかな。
｢おはよう、ハル。あのさ｣
｢話！…話、しよう。うち、あんたともう一回、ちゃんと話したい｣
目があまりにも真っ直ぐで。正直、予想外だった。今までのハルなら、私が声をかけるまで私の方へ来ないと思っていたから。
もしかしたら怒っているかもと思った。
だから、今日はハルとは気まずくなるだろう、とある程度の覚悟は決めていたのに。
ある意味、裏切られた。
嬉しい方向に、だけど。
ハルの言う話が悪い話か、それとも私と同じ意味での話かは分からないけれど。
でも。
｢うん、私もハルと話したいことがあるんだ。いつが良い？｣
｢あ、えっと、じゃあ放課後！に、教室で｣
｢…わかった。じゃあ、それまではお互いに別で行動しよう。話すこと整理したいから｣
｢おん…！ほな、また放課後に｣
｢うん、じゃあね｣
ハルが手を振って、自分の席に帰っていく。目が合わなくなって、今度は私が自分の机に突っ伏す。
…き、
｢緊張した…！｣
本当は自分のペースでハルに話しかけようと思っていたから、急に来られては、もう、緊張以外の何物でもない。
バクバクと嫌な音を立てる心臓を抑えて、必死に息を吸う。
ハルと、話した。
あんな酷いことを言ったから、もう話せないと思っていたのに。
｢良かったやないか、雨宮｣
｢ほんとそれ。もう良かった以外の何物でも、…え？｣
急に聞こえてきた声に、顔を上げる。
バレー部長身男子二人組が一人で戸惑う私を見下ろし、ニヤニヤと笑っている。
｢…侑に、銀島｣
｢良かったなあ、雨宮。安心したで、俺。雨宮がやっと前に進めるんや思うたら、嬉しゅうてたまらんかってん｣
｢雨宮には世話になったからな。俺らやって別に情に冷たい訳やないんや｣
心底安心した、っていう顔をしている銀島の横で、何やら自信たっぷりな侑がいて。
妙に侑に腹が立つ。
｢銀島はありがとう。で、侑はなんでそんな自信たっぷりなの？｣
｢俺にも礼くらい言えや｣
｢おおきにー｣
｢腹立つ｣
｢まあまあ。侑、昨日のこと言えばええやんか｣
昨日のこと。
その言葉に、疑問符を浮かべる。昨日、何があったというのか。
｢…俺と銀、フラれてきたんや、昨日｣
目を、見開く。
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はるか(プロフ) - この作品のことではないんですがブスの愛で方はもう公開されないんでしょうか？ (2023年2月25日 13時) (
レス) id: aa3e2fb3e0 (このIDを非表示/違反報告)
サラミ - なんかもう…本当に胸が痛かったです…なんでそんなに感動する文章かけるの…？という感じでした。辛いし、気持ちが凄くわかるし、頭がうああってなって(語彙力)気づいたら大号泣していました。本当に素敵なお話をありがとうございました。 (2023年1月18日 22時) (レス) @page50 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 北さんもいい……！ めちゃくちゃにやけました！ (2022年10月23日 0時) (レス) @page50 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
お布団 - 何回ワシをにやけさせんねん！！ (2021年11月28日 10時) (レス) @page50 id: e77bb3532f (このIDを非表示/違反報告)
リンネ(プロフ) - 私、恋愛をした事なくて恋愛小説をどこか違う世界のものとして読んでました。でもこの小説は、感情移入してしまって雨宮の｢自分が嫌い｣という感情が私と重なって泣いてしまいました。あなたの言葉で救われた気がします。ありがとうございます。 (2021年7月5日 2時) (レス) id: 2b6f27f6e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お水。
| 作成日時：2019年8月16日 11時
