1章21話 少女は蝶が好き ページ22
(綺麗……欲しい……)
籠いっぱいに捕まえて温室に放し飼いしたい。しかし、現在、究極の家出中である私に勿論温室なんてものは無い。
1匹だけ捕まえて帰ろうか、なんて思ったところで、ふと視界の端に槍の切っ先が映り込んでくる。
｢あ｣
蝶に夢中になりすぎたのか、槍での攻撃への反応が送れたのだ。相手も相手で武術の心得はそれなりにあるようで、一撃は重く速い。
(避けられるけど……ギリギリ頬に掠ったら不味いし……)
念能力を発動し攻撃を止めようとしたその時、男は突如自分から長槍を手放した。
いや、手負いの背中に更なる攻撃を受け、一瞬手の力が緩んだ。
気配を消すのが余程上手いのか攻撃したのが誰かはすぐに特定できなかったが、とりあえず槍男の息の根を止め──ようとして、ふと思い留まる。
(“ネイビー”って、人殺すような“キャラ”かしら……)
好奇心旺盛で知識欲満載の眼鏡少女“ネイビー”。
やはり、字面から考えても殺しはしない気がする。まぁ、元々この怪我ではリタイアでもしてすぐに治療を受けても、非念能力者なら助かるかどうかは微妙な所ではあるが。
(でも、ここで殺しておかないと、悪足掻きで狙われるのも面倒だし──)
と、そこまで考えたところで、急にはっきりと、人の気配を感じた。恐らく今までバッチリ気配を消していて、たった今ワザと気取らせたんだろう。
｢そいつオレのターゲットなんだよね。貰っていい？｣
｢……あぁ、はい。どうぞ｣
木陰から音もなく現れたのは、相変わらず気持ち悪い格好をしたイルミ。本当に気持ち悪い。人間じゃない。
私は少し間を置いて、“ネイビー”として言葉を返す。イルミは元々私の返事なんて待ってはいなかったので、男にトドメを刺そうと針を構えた。
一方の槍男は観念したのか、絞り出すような声を発する。
｢待ってくれ……死にゆく俺の、最期の頼みを聞いてはくれないか……｣
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わっし - イルミとの絡みも過去編?も凄い好きです…！武器を自由に操れる…武器の威力も操れる…ってコト？！ (1月3日 0時) (
レス) @page43 id: bdc57886de (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - Asaちゃんさん» コメントありがとうございます。イルミとの関係性は自分でも気に入っている部分なので、そこを肯定して頂けて、すごく嬉しく思います……！！ この気持ちでこれから先、更新頑張ります！ (2021年5月29日 1時) (レス) id: d0d59a8df2 (このIDを非表示/違反報告)
Asaちゃん(プロフ) - やばい、イルミとの絡み方がすごく好き！更新楽しみにしています^ - ^ (2021年5月28日 7時) (レス) id: 245967808e (このIDを非表示/違反報告)
あめ。(プロフ) - ダチュラさん» そう言って頂けてとても嬉しいです……！！調子に乗って、連日更新してしまいました笑。閲覧、暖かいコメント、ありがとうございます！ (2021年5月28日 1時) (レス) id: d0d59a8df2 (このIDを非表示/違反報告)
ダチュラ - 初見です!！続き気になる……！！更新待っています！！ (2021年5月27日 22時) (レス) id: d99cf3ac4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あめ。 | 作成日時：2021年5月22日 0時
